「TCP/IPって何?」「ポート番号って何のこと?」
ネットワークやサーバーを学ぶと、必ず出てくるこれらの用語。なんとなく聞いたことはあっても、正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、TCP/IPとポート番号について、「宅配便」に例えながら初心者の方にもわかりやすく解説します。
TCP/IPとは?
TCP/IPは、インターネット通信のルール(プロトコル)です。
「TCP」と「IP」という2つのプロトコルを組み合わせた名前ですが、一般的にはインターネット通信の標準ルール全体を指します。
「宅配便」で考えてみよう
インターネット通信を宅配便に例えてみましょう。
- IP(Internet Protocol):荷物を届ける「住所のルール」
- TCP(Transmission Control Protocol):荷物が確実に届くようにする「配達確認のルール」
宅配便で荷物を送る時、住所を書いて、届いたか確認しますよね。インターネットも同じように、「どこに送るか(IP)」「確実に届いたか(TCP)」を管理しています。
IPとTCPの役割
IPとTCPの役割をもう少し詳しく見てみましょう。
IP(Internet Protocol)の役割
IPは、データを「どこに届けるか」を決めるルールです。
- 送り先を「IPアドレス」で指定
- データを「パケット」という小さな単位に分割して送る
- 届け先に向かって、最適な経路でパケットを転送
ただし、IPだけでは「届いたかどうかの確認」や「順番通りに届ける」ことはしません。ここでTCPの出番です。
TCP(Transmission Control Protocol)の役割
TCPは、データを「確実に、正しい順番で」届けるルールです。
- データが届いたら「受け取りました」と返事をする
- 届かなかったら再送する
- バラバラに届いたパケットを正しい順番に並べ替える
Webサイトの閲覧、メールの送受信など、データの欠けが許されない通信ではTCPが使われます。
| プロトコル | 役割 | 宅配便で例えると |
|---|---|---|
| IP | 届け先を指定、経路を決める | 住所を書いて送る |
| TCP | 確実に、順番通りに届ける | 配達確認、追跡番号 |
UDPとは?
TCPの他にUDP(User Datagram Protocol)というプロトコルもあります。
TCPとUDPの違い
| 項目 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 信頼性 | 高い(確認あり) | 低い(確認なし) |
| 速度 | やや遅い | 速い |
| 用途 | Web、メール、ファイル転送 | 動画配信、オンラインゲーム、DNS |
| 例え | 書留郵便 | ポスト投函 |
UDPは「届いたか確認しない」ので、TCPより速いです。
動画のストリーミング配信やオンラインゲームでは、少しデータが欠けても問題ないので、速度重視のUDPがよく使われます。
ポート番号とは?
ポート番号は、コンピュータ内の「どのサービス(アプリ)に届けるか」を指定する番号です。
「マンションの部屋番号」で考える
IPアドレスが「マンションの住所」だとすると、ポート番号は「部屋番号」です。
- IPアドレス:〇〇マンション(建物の住所)
- ポート番号:101号室、202号室…(部屋番号)
1台のサーバーで、Webサーバー、メールサーバー、データベースなど、複数のサービスが動いていることがあります。
ポート番号を使うことで、「この通信はWebサーバー宛て」「これはメールサーバー宛て」と振り分けができるのです。
よく使うポート番号
よく使われるポート番号を覚えておきましょう。
| ポート番号 | プロトコル | 用途 |
|---|---|---|
| 20, 21 | FTP | ファイル転送 |
| 22 | SSH | 安全なリモート接続 |
| 23 | Telnet | リモート接続(非推奨) |
| 25 | SMTP | メール送信 |
| 53 | DNS | 名前解決 |
| 80 | HTTP | Webサイト(暗号化なし) |
| 443 | HTTPS | Webサイト(暗号化あり) |
| 3306 | MySQL | データベース |
| 5432 | PostgreSQL | データベース |
特に重要なのは80(HTTP)と443(HTTPS)。Webサイトを見る時に使われます。
普段URLに「:80」や「:443」と書かないのは、ブラウザが自動的に補完してくれているからです。
TCP/IPの階層モデル
TCP/IPは4つの層で構成されています。
| 層 | 名前 | 役割 | 代表的なプロトコル |
|---|---|---|---|
| 4 | アプリケーション層 | ユーザーが使うサービス | HTTP、SMTP、DNS |
| 3 | トランスポート層 | 通信の信頼性を確保 | TCP、UDP |
| 2 | インターネット層 | IPアドレスで届け先を決定 | IP |
| 1 | ネットワークインターフェース層 | 物理的な通信 | Ethernet、Wi-Fi |
データは上の層から下の層へ、各層で必要な情報を付け加えながら送られます。受け取る側は、下から上へ情報を読み解いていきます。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| TCP/IPとは | インターネット通信の標準ルール |
| IPの役割 | 届け先(IPアドレス)を指定 |
| TCPの役割 | 確実に、順番通りに届ける |
| UDPの役割 | 速度重視、確認なし |
| ポート番号 | どのサービスに届けるかを指定 |
| 重要なポート | 80(HTTP)、443(HTTPS)、22(SSH) |
TCP/IPとポート番号は、ネットワークの基礎中の基礎です。
難しく感じるかもしれませんが、「住所」「部屋番号」「宅配便」のイメージで考えると理解しやすくなります。インフラエンジニアを目指すなら、しっかり押さえておきましょう!
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