「IPアドレスは何となくわかるけど、サブネットマスクって何?」「/24とか/16って何の数字?」
ネットワークを学び始めると必ず出てくるIPアドレスとサブネットマスク。特にサブネットマスクは、初心者がつまずきやすいポイントの1つです。
この記事では、IPアドレスとサブネットマスクの基本を、できるだけわかりやすく解説します。一度理解すれば、ネットワークの世界がグッと見えやすくなりますよ。
IPアドレスとは?
ネットワーク上の「住所」
IPアドレスは、ネットワークに接続された機器(パソコン、スマホ、サーバーなど)を識別するための「住所」のようなものです。
私たちが手紙を送るときに住所が必要なように、インターネットでデータを送るときも、送り先を特定するためにIPアドレスが必要です。
IPアドレスの形式
IPアドレス(IPv4)は、0〜255の数字を4つ、ドット(.)で区切った形式で表されます。
192.168.1.100
この例では、192、168、1、100という4つの数字で構成されています。それぞれの数字を「オクテット」と呼びます(8ビットで表現されるため)。
IPアドレスの2進数表現
コンピュータは2進数(0と1)で情報を処理します。IPアドレスも内部的には2進数で扱われています。
| 10進数 | 2進数 |
|---|---|
| 192 | 11000000 |
| 168 | 10101000 |
| 1 | 00000001 |
| 100 | 01100100 |
つまり、192.168.1.100を2進数で書くと:
11000000.10101000.00000001.01100100
合計32ビット(8ビット×4)で構成されています。
IPアドレスは2つの部分でできている
ここが重要なポイントです。IPアドレスは、「ネットワーク部」と「ホスト部」の2つの部分で構成されています。
住所に例えると…
実際の住所で考えてみましょう。
東京都新宿区○○町 1-2-3
この住所は、以下のように分解できます:
- 東京都新宿区○○町:どの「地域」かを示す(=ネットワーク部)
- 1-2-3:その地域の中の「個別の家」を示す(=ホスト部)
IPアドレスも同じです:
- ネットワーク部:どの「ネットワーク」に属しているか
- ホスト部:そのネットワーク内の「個別の機器」を識別
でも、どこで区切るの?
ここで疑問が出てきます。「192.168.1.100」のどこまでがネットワーク部で、どこからがホスト部なのか?
実は、IPアドレスだけでは区切り位置がわかりません。そこで登場するのがサブネットマスクです。
サブネットマスクとは?
「どこで区切るか」を示すもの
サブネットマスクは、IPアドレスの「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を示すための値です。
サブネットマスクもIPアドレスと同じ形式で表されます:
255.255.255.0
サブネットマスクの仕組み
サブネットマスクを2進数で見ると、仕組みがわかりやすくなります。
255.255.255.0
↓
11111111.11111111.11111111.00000000
ルールはシンプルです:
- 1の部分:ネットワーク部
- 0の部分:ホスト部
この例では、最初の24ビットがネットワーク部、残りの8ビットがホスト部です。
IPアドレスとサブネットマスクを組み合わせる
具体例で見てみましょう。
IPアドレス: 192.168.1.100
サブネットマスク:255.255.255.0
2進数で並べると:
IPアドレス: 11000000.10101000.00000001.01100100
サブネットマスク:11111111.11111111.11111111.00000000
├───────ネットワーク部───────┤├ホスト部┤
つまり:
- ネットワーク部:192.168.1(このネットワークの識別子)
- ホスト部:100(このネットワーク内の機器番号)
プレフィックス表記(/24など)
サブネットマスクは、「/」の後に数字をつける形式でも表されます。これをプレフィックス表記またはCIDR表記と呼びます。
プレフィックス表記の意味
/の後の数字は、ネットワーク部のビット数を表しています。
| プレフィックス | サブネットマスク | ネットワーク部 |
|---|---|---|
| /8 | 255.0.0.0 | 最初の8ビット |
| /16 | 255.255.0.0 | 最初の16ビット |
| /24 | 255.255.255.0 | 最初の24ビット |
| /28 | 255.255.255.240 | 最初の28ビット |
例えば「192.168.1.100/24」と書けば、「IPアドレスは192.168.1.100で、最初の24ビットがネットワーク部ですよ」という意味になります。
サブネットで何ができるの?
ネットワークを分割できる
サブネットマスクを使うことで、大きなネットワークを小さく分割できます。これを「サブネット化」と言います。
例えば、会社の中で部署ごとにネットワークを分けたい場合:
- 営業部:192.168.1.0/24
- 開発部:192.168.2.0/24
- 総務部:192.168.3.0/24
こうすることで、部署ごとに独立したネットワークを作れます。
使えるIPアドレスの数が決まる
サブネットマスクによって、そのネットワークで使えるIPアドレスの数が決まります。
| プレフィックス | ホスト部のビット数 | 使用可能なアドレス数 |
|---|---|---|
| /24 | 8ビット | 254台 |
| /25 | 7ビット | 126台 |
| /26 | 6ビット | 62台 |
| /27 | 5ビット | 30台 |
| /28 | 4ビット | 14台 |
※ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つは機器に割り当てられないため、2を引いています。
特別なIPアドレス
知っておくと役立つ特別なIPアドレスを紹介します。
ネットワークアドレス
ホスト部がすべて0のアドレス。そのネットワーク自体を表します。
192.168.1.0(/24の場合)
ブロードキャストアドレス
ホスト部がすべて1のアドレス。そのネットワーク内の全員に送信するときに使います。
192.168.1.255(/24の場合)
プライベートIPアドレス
社内ネットワークなど、インターネットに直接接続しない環境で使うアドレス。
| クラス | 範囲 |
|---|---|
| クラスA | 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 |
| クラスB | 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 |
| クラスC | 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 |
自宅のルーターで「192.168.x.x」というアドレスを見たことがある方も多いはず。これがプライベートIPアドレスです。
実務でよく見るパターン
現場でよく使われるサブネットのパターンを紹介します。
| 用途 | よく使うサブネット | 使用可能台数 |
|---|---|---|
| 小規模オフィス | /24 | 254台 |
| 部署ごとの分割 | /25〜/27 | 30〜126台 |
| サーバー用セグメント | /28〜/29 | 6〜14台 |
| ポイントツーポイント | /30 | 2台 |
/24は覚えやすく、中小企業のオフィスネットワークでよく使われます。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| IPアドレスとは | ネットワーク上の機器を識別する「住所」 |
| IPアドレスの構成 | ネットワーク部+ホスト部 |
| サブネットマスクとは | ネットワーク部とホスト部の境界を示す値 |
| プレフィックス表記 | /24のようにネットワーク部のビット数で表現 |
| サブネット化のメリット | ネットワークの分割、効率的なIP管理 |
IPアドレスとサブネットマスクは、ネットワークの最も基本的な概念です。最初は難しく感じるかもしれませんが、2進数での考え方を理解すれば、スッキリと頭に入ってきます。
実務では/24を使うことが多いので、まずは「/24=255.255.255.0=254台使える」と覚えておきましょう!