「Kubernetesって最近よく聞くけど、何ができるの?」「Dockerとは違うの?」
インフラエンジニアの求人を見ていると、Kubernetes(クバネティス/クーバネティス)という言葉を見かける機会が増えていませんか?「k8s」と略されることもあります。
この記事では、Kubernetesとは何か、なぜ必要なのかを、初心者向けに超やさしく解説します。
Kubernetesとは?
「コンテナの管理人」
Kubernetes(クバネティス)は、たくさんのコンテナを効率よく管理・運用するためのツールです。Google社が開発し、現在はオープンソースとして公開されています。
「k8s(ケーエイツ)」という略称は、Kubernetesの「K」と「s」の間に8文字あることに由来しています。
その前に:コンテナって何?
Kubernetesを理解するには、まずコンテナを知る必要があります。
コンテナとは、アプリケーションとその実行に必要な環境(ライブラリ、設定ファイルなど)をひとまとめにパッケージ化したものです。代表的なコンテナ技術がDockerです。
コンテナを使うと:
- どの環境でも同じように動く
- 起動が速い(数秒で立ち上がる)
- リソースを効率的に使える
コンテナが増えると大変になる
コンテナは便利ですが、本番環境では数十、数百、数千のコンテナを動かすこともあります。そうなると…
- どのサーバーでどのコンテナを動かす?
- コンテナが落ちたら誰が再起動する?
- アクセスが増えたらどうスケールする?
- アップデートはどうやって行う?
これらを手作業で管理するのは現実的ではありません。そこで登場するのがKubernetesです。
Kubernetesは何をしてくれるの?
Kubernetesは、大量のコンテナを自動で管理してくれます。この管理のことを「オーケストレーション」と呼びます。
オーケストレーションとは?
オーケストラの指揮者をイメージしてください。指揮者は、たくさんの楽器(コンテナ)を調整して、音楽(サービス)を作り出します。
Kubernetesも同じように、たくさんのコンテナを調整して、サービスがスムーズに動くよう管理します。
Kubernetesの主な機能
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 自動スケーリング | 負荷に応じてコンテナ数を自動調整 |
| 自己修復 | コンテナが落ちたら自動で再起動 |
| ロードバランシング | 複数コンテナにアクセスを分散 |
| ローリングアップデート | 無停止でアプリを更新 |
| 設定管理 | 環境変数や秘密情報を一元管理 |
| ストレージ管理 | データの永続化を自動で行う |
DockerとKubernetesの関係
「DockerとKubernetesは何が違うの?」という疑問をよく聞きます。
役割の違い
| 項目 | Docker | Kubernetes |
|---|---|---|
| 役割 | コンテナを作る・動かす | コンテナを管理する |
| 例え | 船(コンテナを運ぶ) | 港の管理システム |
| スケール | 1台のサーバー向け | 複数サーバー向け |
つまり、DockerとKubernetesは競合ではなく、組み合わせて使うものです。Dockerでコンテナを作り、Kubernetesで管理する、という関係です。
Kubernetesの基本概念
Kubernetesを理解するために、いくつかの用語を覚えておきましょう。
クラスター
Kubernetesが管理するサーバー群全体のこと。複数のサーバー(ノード)で構成されます。
ノード
クラスターを構成する個々のサーバー。コンテナが実際に動く場所です。
Pod(ポッド)
Kubernetesでコンテナを動かす最小単位。1つ以上のコンテナをまとめたグループです。
Service(サービス)
Podへのアクセスを管理する仕組み。ロードバランサーのような役割を果たします。
Deployment(デプロイメント)
Podをどうやって動かすかを定義したもの。「このコンテナを3つ動かして」といった指示書のようなものです。
| 用語 | 説明 | 例え |
|---|---|---|
| クラスター | サーバー群全体 | 工場全体 |
| ノード | 個々のサーバー | 工場の各建物 |
| Pod | コンテナのグループ | 製造ライン |
| Service | アクセスの窓口 | 受付窓口 |
| Deployment | 実行の指示書 | 作業指示書 |
Kubernetesはどこで使える?
Kubernetesは様々な環境で利用できます。
クラウドのマネージドサービス
各クラウドベンダーが、Kubernetesを簡単に使えるサービスを提供しています。
| クラウド | サービス名 |
|---|---|
| AWS | Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service) |
| Azure | Azure Kubernetes Service(AKS) |
| GCP | Google Kubernetes Engine(GKE) |
マネージドサービスを使えば、複雑な構築作業なしにKubernetesを利用できます。
ローカル環境で試す
学習目的であれば、自分のPCでKubernetesを試すこともできます。
- Minikube:ローカルで動くKubernetes環境
- Docker Desktop:Kubernetes機能を内蔵
- kind:Docker上でKubernetesクラスターを作成
Kubernetesを学ぶステップ
Kubernetesを学ぶ前に、いくつかの前提知識があると理解がスムーズです。
Step1:Linuxの基礎
Kubernetesの操作はコマンドラインが中心。まずはLinuxの基本コマンドに慣れておきましょう。
Step2:Dockerを理解する
コンテナの基本を理解していないと、Kubernetesは難しく感じます。まずはDockerでコンテナを作って動かす経験を積みましょう。
Step3:Kubernetesの基本概念を学ぶ
Pod、Service、Deploymentなど、基本的な概念を理解します。
Step4:実際に触ってみる
MinikubeやDocker Desktopで、実際にKubernetesを動かしてみましょう。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Kubernetesとは | コンテナを管理・運用するためのツール |
| 何をしてくれるか | 自動スケーリング、自己修復、負荷分散など |
| Dockerとの関係 | Docker=コンテナを作る、K8s=管理する |
| 基本用語 | クラスター、ノード、Pod、Service、Deployment |
| 学ぶ順番 | Linux → Docker → Kubernetesの概念 → 実践 |
Kubernetesは、現代のWebサービスを支える重要な技術です。最初は難しく感じるかもしれませんが、段階的に学んでいけば必ず理解できます。
まずはDockerをしっかり理解してから、Kubernetesにチャレンジしてみてください!