「C#ってどんな言語?」「Javaと似てるって聞くけど、違いは?」「ゲーム開発に使えるらしいけど、それだけ?」
プログラミング言語を選ぶとき、C#(シーシャープ)は必ず候補に挙がる人気言語です。Microsoftが開発した言語で、Webアプリからゲーム、業務システムまで幅広く使えます。
この記事では、プログラミング初心者の方でもわかるように、C#の特徴から活用場面まで丁寧に解説していきます。
C#とは?Microsoftが開発した万能プログラミング言語
C#(シーシャープ)は、Microsoftが2000年に発表したプログラミング言語です。C言語やC++の流れを汲みつつ、Javaの良い部分も取り入れて設計されました。
音楽記号の「♯(シャープ)」に由来する名前で、「C言語をさらに進化させた」という意味が込められています。
.NET(ドットネット)との関係
C#を語る上で欠かせないのが.NET(ドットネット)です。
.NETは、C#で書いたプログラムを動かすための「実行環境」であり、豊富な機能を提供する「フレームワーク」でもあります。C#と.NETは常にセットで使われると考えてください。
2025年11月には.NET 10がリリースされ、C#もC# 14に進化しています。これは3年間サポートが続くLTS(長期サポート)バージョンで、企業での採用に適した安定版です。
C#の特徴を一言で
C#を一言で表すなら「バランスの取れた万能言語」です。
- 初心者にも比較的学びやすい文法
- 大規模開発にも耐えうる堅牢性
- Webからゲームまで幅広い用途
- Microsoftの強力なサポート
C#でできること【5つの活用分野】
C#は本当に様々な分野で使われています。主な活用分野を5つご紹介します。
1. ゲーム開発(Unity)
C#の最も有名な活用分野がUnityを使ったゲーム開発です。
Unityは世界で最も使われているゲームエンジンの一つで、C#でプログラミングします。スマートフォンゲームから家庭用ゲーム機、VR/ARまで、幅広いプラットフォームに対応しています。
Unityで作られた有名なゲームには、「ポケモンGO」「原神」「Cuphead」などがあります。
2. Webアプリケーション開発
ASP.NET Coreというフレームワークを使って、Webアプリケーションを開発できます。
バックエンド(サーバー側)の開発はもちろん、Blazorというフレームワークを使えば、C#でフロントエンド(ブラウザ側)の開発も可能です。JavaScript/TypeScriptを使わずに、C#だけでフルスタック開発ができるのは大きな魅力です。
3. 業務システム・デスクトップアプリ
日本の企業では、業務システムや社内ツールの開発にC#が広く使われています。
Windowsアプリケーション開発では、WPF(Windows Presentation Foundation)やWinFormsといった技術が使われ、データベースと連携した業務アプリを効率的に開発できます。
4. クラウド・サーバーサイド開発
Microsoft Azureをはじめとするクラウドサービスとの相性が抜群です。
Azure Functions(サーバーレス)、Azure App Service(Webアプリ)など、MicrosoftのクラウドサービスはすべてC#/.NETに最適化されています。AWSやGoogle Cloudでも、もちろんC#は使えます。
5. モバイルアプリ開発
.NET MAUI(マウイ)を使えば、C#一つでiOS、Android、Windows、macOS向けのアプリを開発できます。
一つのコードベースから複数のプラットフォーム向けにアプリを作れるため、開発効率が大幅に向上します。
C#の3つの特徴
C#が多くの開発者に選ばれる理由を、3つの特徴から解説します。
1. 型安全で堅牢
C#は静的型付け言語です。変数の型を事前に決めることで、コンパイル時(実行前)にエラーを検出できます。
// C#の型指定の例
string name = "山田太郎"; // 文字列
int age = 25; // 整数
double price = 1980.5; // 小数点数
bool isActive = true; // 真偽値
// 型が違うとエラー
// age = "二十五"; // コンパイルエラー!
この「型安全性」のおかげで、大規模なプロジェクトでもバグを減らし、保守しやすいコードが書けます。
2. オブジェクト指向
C#はオブジェクト指向を基本とした言語です。クラス、継承、インターフェースなど、オブジェクト指向の概念をしっかり学べます。
// クラスの例
public class User
{
public string Name { get; set; }
public int Age { get; set; }
public void Greet()
{
Console.WriteLine($"こんにちは、{Name}です!");
}
}
// 使い方
var user = new User { Name = "田中", Age = 30 };
user.Greet(); // "こんにちは、田中です!"
オブジェクト指向の考え方は、他の言語(Java、Python、TypeScriptなど)でも使えるため、一度身につければ応用が効きます。
3. 開発環境が充実
Microsoftが開発しているだけあって、開発ツールが非常に充実しています。
- Visual Studio:最強クラスの統合開発環境(IDE)
- Visual Studio Code:軽量で拡張性の高いエディタ
- GitHub Copilot:AIによるコード補完との相性も抜群
2025年9月にはVisual Studio 2026の開発版もリリースされ、AI機能の統合やパフォーマンス改善が進んでいます。
C#とJavaの違い
C#はよくJavaと比較されます。似ている部分も多いですが、違いもあります。
| 項目 | C# | Java |
|---|---|---|
| 開発元 | Microsoft | Oracle(元Sun) |
| 実行環境 | .NET | JVM(Java仮想マシン) |
| 主な用途 | Windows、Unity、Azure | Webシステム、Android |
| 言語の進化 | 年1回のメジャーアップデート | 半年ごとのリリース |
| 開発環境 | Visual Studio(高機能) | IntelliJ IDEA、Eclipseなど |
| ゲーム開発 | Unity(非常に強い) | あまり使われない |
どちらを学ぶべき?
- ゲーム開発に興味がある → C#(Unity)
- Windowsアプリを作りたい → C#
- Androidアプリを作りたい → Java(またはKotlin)
- 大企業の業務システム → どちらも需要あり
文法は似ているので、片方を学べばもう一方への移行も比較的スムーズです。
C#の最新動向【2025年版】
2025年現在、C#は活発に進化を続けています。
.NET 10とC# 14
2025年11月11日に.NET 10がリリースされました。これはLTS(長期サポート)バージョンで、2028年まで3年間のサポートが提供されます。
同時にリリースされたC# 14では、以下のような新機能が追加されています。
- 拡張メンバー:既存の型に新しいメソッドやプロパティを追加できる機能の強化
- fieldキーワード:プロパティ内でバッキングフィールドに簡単にアクセス
- 部分プロパティの強化:コード生成との連携が向上
AI統合の進化
.NET 10では、AIとの統合が大きく進化しています。
- Microsoft.Extensions.AI:AIサービスとの連携を標準化するライブラリ
- Semantic Kernel:AIワークフローを構築するためのフレームワーク
- GitHub Copilot連携:Visual Studioでの開発効率が大幅向上
クロスプラットフォーム対応
かつてC#は「Windows専用」のイメージがありましたが、現在はWindows、macOS、Linuxすべてで動作します。.NET Coreの登場以降、真のクロスプラットフォーム言語として進化し続けています。
C#の基本的な書き方
C#の基本的なコードを見てみましょう。
Hello World
// 最もシンプルな書き方(トップレベルステートメント)
Console.WriteLine("Hello, World!");
C# 9以降では、上記のようにシンプルに書けます。従来のクラス定義なしで、すぐにコードを実行できます。
変数と制御構文
// 変数宣言
string name = "田中";
int score = 85;
// 条件分岐
if (score >= 80)
{
Console.WriteLine($"{name}さんは優秀です!");
}
else
{
Console.WriteLine($"{name}さん、頑張りましょう!");
}
// ループ
for (int i = 1; i <= 5; i++)
{
Console.WriteLine($"{i}回目のループ");
}
クラスとオブジェクト
// クラス定義
public class Product
{
public string Name { get; set; }
public int Price { get; set; }
public string GetInfo()
{
return $"{Name}: {Price}円";
}
}
// 使い方
var product = new Product
{
Name = "コーヒー",
Price = 350
};
Console.WriteLine(product.GetInfo()); // "コーヒー: 350円"
JavaやTypeScriptの経験がある方なら、馴染みやすい文法だと感じるはずです。
C#を学ぶメリット【未経験者向け】
未経験からエンジニアを目指す方にとって、C#を学ぶメリットをお伝えします。
1. 就職・転職に強い
日本の企業では、業務システム開発にC#を使っているケースが非常に多いです。特にSIer(システムインテグレーター)やソフトウェア開発会社での需要が高く、求人も豊富です。
2. ゲーム業界への道
Unityを使ったゲーム開発ができるのは、C#の大きな魅力です。ゲーム会社への就職や、個人でのゲーム開発を目指す方には最適な選択肢です。
3. 基礎力が身につく
C#はオブジェクト指向、型システム、非同期処理など、プログラミングの重要な概念をしっかり学べます。この知識は、他の言語を学ぶ際にも大いに役立ちます。
4. Microsoftのエコシステム
Azure、Visual Studio、GitHub Copilotなど、Microsoftの豊富なツールやサービスと連携しやすいのもメリットです。
C#の学習ステップ
効率よくC#を学ぶためのステップをご紹介します。
ステップ1:開発環境を整える
Visual Studio(無料のCommunity版)または Visual Studio Codeをインストールし、.NET SDKをセットアップします。
ステップ2:基本文法を学ぶ
変数、条件分岐、ループ、配列、関数など、プログラミングの基礎を学びます。Microsoft Learnの無料教材がおすすめです。
ステップ3:オブジェクト指向を理解する
クラス、継承、インターフェース、ポリモーフィズムなど、オブジェクト指向の概念を学びます。
ステップ4:目的に応じた技術を学ぶ
- ゲーム開発 → Unity
- Web開発 → ASP.NET Core、Blazor
- デスクトップアプリ → WPF、WinForms
ステップ5:実際にアプリを作る
簡単なアプリを作りながら、実践的なスキルを身につけましょう。
まとめ
この記事では、C#の基本について解説しました。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| C#とは | Microsoftが開発した万能プログラミング言語 |
| 主な用途 | ゲーム(Unity)、Web、業務システム、クラウド |
| 最新バージョン | .NET 10 / C# 14(2025年11月リリース) |
| 特徴 | 型安全、オブジェクト指向、充実した開発環境 |
| 学ぶメリット | 求人が豊富、ゲーム開発可能、基礎力が身につく |
C#は、Webアプリからゲーム、業務システムまで幅広く使える「万能言語」です。Microsoftの強力なサポートのもと、着実に進化を続けています。
特にUnityでのゲーム開発に興味がある方や、日本の企業でシステム開発をしたい方には、C#は非常におすすめの選択肢です。ぜひ学習を始めてみてください!