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プログラミング入門 約9分で読めます

【2025年版】Rustとは?世界で最も愛される言語の特徴を初心者向けに解説

「Rustって難しいって聞くけど、なぜそんなに人気なの?」「C++の代わりになるって本当?」

Stack Overflowの開発者調査で10年連続「最も愛されている言語」1位を獲得し続けているRust。Microsoft、Google、Amazonなど大手テック企業も積極的に採用しています。

この記事では、プログラミング初心者の方でもわかるように、Rustの特徴から「なぜ難しいと言われるのか」まで、丁寧に解説していきます。

Rustとは?安全性と速度を両立した言語

Rust(ラスト)は、Mozillaが支援して開発されたシステムプログラミング言語です。2015年にバージョン1.0がリリースされました。

Rustの目標は、「C/C++と同等の速度を持ちながら、メモリ安全性を保証する」こと。従来、高速な言語(C/C++)は安全性に問題があり、安全な言語は速度が犠牲になるというトレードオフがありました。Rustはこの両立を実現した革新的な言語です。

Rustが生まれた背景

Firefoxを開発していたMozillaでは、C++で書かれたコードのメモリ関連バグに悩まされていました。バッファオーバーフローやメモリリークといった問題は、セキュリティ脆弱性の大きな原因になります。

「安全で高速な言語があれば…」という思いから、2006年にMozillaのグレイドン・ホアレ氏がRustの開発を始めました。

Rustを使っている企業・プロジェクト

Rustは大手テック企業で急速に採用が広がっています。

  • Microsoft:Windowsカーネルの一部をRustで書き直し
  • Google:Android OSの開発に採用
  • Amazon:AWSのインフラ(Firecracker等)で活用
  • Meta(Facebook):バックエンドシステムに採用
  • Dropbox:ファイル同期エンジンをRustで再実装
  • Discord:パフォーマンス重視の部分に採用
  • Cloudflare:エッジコンピューティングで活用

Linuxカーネルにも2022年からRustのサポートが追加され、システムプログラミングの世界でRustの存在感は増す一方です。

Rustの3つの特徴

Rustが注目される理由を、3つの特徴から解説します。

1. メモリ安全性(所有権システム)

Rustの最大の特徴は「所有権(Ownership)システム」です。

多くの言語では、メモリ管理をガベージコレクション(GC)という仕組みに任せています。しかしGCは実行時にオーバーヘッドが発生し、速度が犠牲になります。

一方、C/C++はGCを使わず高速ですが、プログラマーが手動でメモリを管理する必要があり、バグの温床になっていました。

Rustは所有権という独自の仕組みで、GCなしでメモリ安全性を保証します。コンパイル時(実行前)にメモリ関連のエラーを検出してくれるのです。

// Rustの所有権の例
fn main() {
    let s1 = String::from("hello");  // s1がデータを「所有」
    let s2 = s1;                     // 所有権がs2に移動(ムーブ)
    
    // println!("{}", s1);  // エラー!s1はもう使えない
    println!("{}", s2);     // OK
}

このように、Rustでは「誰がデータの所有者か」を厳密に追跡し、不正なメモリアクセスをコンパイル時に防ぎます。

2. C/C++と同等の実行速度

Rustはコンパイル時に最適化を行い、C/C++と同等の実行速度を実現します。ランタイムオーバーヘッドがほとんどないため、パフォーマンスが重要なシステムに最適です。

また、「ゼロコスト抽象化」という設計思想により、高レベルな書き方をしても実行時のコストが増えません。

3. 並行処理の安全性

マルチスレッドプログラミングでは、「データ競合」という厄介なバグが発生しがちです。複数のスレッドが同じデータに同時にアクセスして、予期しない動作が起きる問題です。

Rustでは所有権システムのおかげで、データ競合がコンパイル時に検出されます。「Fearless Concurrency(恐れのない並行処理)」と呼ばれ、Rustの大きな強みです。

なぜRustは「難しい」と言われるのか

Rustは「学習が難しい」とよく言われます。その理由を正直にお伝えします。

所有権・借用・ライフタイムの概念

Rustを学ぶ上で最大のハードルが、所有権・借用・ライフタイムという概念です。

  • 所有権:データの「持ち主」を決める仕組み
  • 借用:所有権を渡さずにデータを一時的に使う仕組み
  • ライフタイム:データが有効な期間を示す仕組み

これらは他の言語にはない独自の概念で、最初は理解に時間がかかります。

// 借用の例
fn print_length(s: &String) {  // &は「借用」を意味する
    println!("長さ: {}", s.len());
}

fn main() {
    let message = String::from("Hello");
    print_length(&message);  // 所有権を渡さず、借用だけする
    println!("{}", message); // まだmessageは使える!
}

コンパイラとの戦い

Rustのコンパイラは非常に厳格です。他の言語なら通るコードでも、Rustでは「安全でない」としてエラーになることがあります。

最初のうちは「なぜこれがダメなの?」と戸惑うことも多いでしょう。しかし、エラーメッセージが非常に親切で、どう修正すればいいかまで教えてくれます。

それでも学ぶ価値がある理由

学習コストが高いのは事実ですが、一度理解すれば非常に堅牢なコードが書けるようになります。また、Rustで学んだ概念は他の言語でのプログラミングにも活かせます。

「Rustを学ぶと世界が変わる」と言う開発者も多く、エンジニアとしての思考力を鍛えるトレーニングとしても価値があります。

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Rustでできること

Rustは様々な分野で活用されています。

1. システムプログラミング

OSカーネル、デバイスドライバー、組み込みシステムなど、低レイヤーの開発がRustの得意分野です。LinuxカーネルへのRust導入は、その象徴的な出来事です。

2. WebAssembly(WASM)

RustはWebAssemblyへの対応が優れています。ブラウザ上で動く高速なアプリケーションを開発でき、JavaScriptでは実現できないパフォーマンスを発揮できます。

3. Webバックエンド

ActixやAxumなどのフレームワークを使って、高速なWebサーバーを構築できます。パフォーマンスが重要なAPIサーバーでの採用が増えています。

4. CLIツール

Rustで書かれたCLIツールは高速で、シングルバイナリとして配布できます。ripgrep(超高速grep)、bat(catの高機能版)などが有名です。

5. ブロックチェーン・暗号

高いセキュリティが求められるブロックチェーンの開発でもRustは人気です。Solana、Polkadotなど多くのプロジェクトがRustを採用しています。

Rustの最新動向【2025年版】

2025年12月現在、Rustの最新バージョンは1.92.0です。Rustは6週間ごとに新しいバージョンがリリースされ、継続的に進化しています。

人気の高まり

  • Stack Overflow調査:「最も愛されている言語」10年連続1位(2016〜2025年)
  • TIOBE Index 2025:過去最高の13位を記録
  • 大手企業での採用:Microsoft、Google、Amazon、Metaが積極導入

成長が期待される分野

  • OS開発:Linuxカーネル、Windowsカーネルへの採用拡大
  • WebAssembly:ブラウザでの高速処理
  • セキュリティ:メモリ安全性を重視するプロジェクト
  • 組み込み・IoT:リソース制約のある環境での開発

RustとC++/Goとの比較

Rustとよく比較される言語との違いを見てみましょう。

項目 Rust C++ Go
メモリ管理 所有権システム 手動管理 GC(自動)
メモリ安全性 コンパイル時保証 保証なし GCが管理
実行速度 非常に高速 非常に高速 高速
学習難易度 難しい 難しい 易しい
並行処理 安全(コンパイル時検査) 危険(バグが起きやすい) goroutineで簡単
主な用途 システム開発、セキュリティ重視 ゲーム、OS、組み込み Webサーバー、インフラ

Rustを選ぶべきケース

  • メモリ安全性が絶対に必要なシステム
  • C/C++並みの速度が必要だが、安全に書きたい
  • 並行処理でバグを出したくない
  • WebAssemblyで高速なWebアプリを作りたい
  • 長期的に保守しやすいコードを書きたい

Rustを学ぶメリット【未経験者向け】

Rustは難しいと言われますが、学ぶメリットも大きいです。

1. エンジニアとしての思考力が鍛えられる

Rustの所有権システムを学ぶと、メモリの動きを意識したプログラミングができるようになります。この知識は他の言語でも役立ちます。

2. 需要が高まっている

Rustエンジニアはまだ少なく、需要に対して供給が追いついていません。希少価値が高く、年収も高い傾向にあります。

3. 安全なコードが書けるようになる

Rustで鍛えられると、他の言語でもバグの少ない堅牢なコードが書けるようになります。

4. 最先端の技術に触れられる

OS開発、WebAssembly、ブロックチェーンなど、最先端の分野でRustは活躍しています。

Rustの学習ステップ

Rustを学ぶためのおすすめステップをご紹介します。

ステップ1:The Rust Programming Language(通称:The Book)

公式の無料オンラインブック「The Rust Programming Language」が最良の入門書です。日本語訳も公開されています。

ステップ2:Rustlings

Rustlingsは、小さな練習問題を解きながらRustを学べるツールです。The Bookと並行して進めるのがおすすめです。

ステップ3:小さなCLIツールを作る

簡単なコマンドラインツールを作りながら、実践的な経験を積みます。

ステップ4:所有権・借用・ライフタイムを深く理解する

ここが最大の山場です。繰り返し練習し、コンパイラのエラーメッセージと向き合いましょう。

ステップ5:興味のある分野に挑戦

Webアプリ(Actix/Axum)、WebAssembly、組み込みなど、興味のある分野に進んでいきます。

まとめ

この記事では、Rustの基本について解説しました。

ポイント 内容
Rustとは メモリ安全性と高速性を両立した言語
最大の特徴 所有権システムによるメモリ安全性
最新バージョン Rust 1.92.0(2025年12月現在)
主な用途 システム開発、WebAssembly、Webバックエンド
学習難易度 高め(所有権の理解がハードル)
将来性 大手企業が積極採用、需要拡大中

Rustは確かに学習コストが高い言語です。しかし、「最も愛されている言語」として10年連続1位を獲得しているのには理由があります。一度習得すれば、安全で高速なコードを書けるようになり、エンジニアとしての市場価値も高まります。

興味がある方は、まずは公式の「The Book」から始めてみてください!

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