「SESってよく聞くけど、実際どんな働き方なの?」
「派遣と何が違うの?ブラックって本当?」
IT業界への転職を考えている方なら、一度は「SES」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。
ネット上にはSESに対するネガティブな意見も多いですが、実態をきちんと理解せずにイメージだけで判断するのはもったいないです。
この記事では、SESの仕組みからメリット・デメリットまで、良い面も悪い面も正直に解説します。
SESとは?基本の仕組みを理解しよう
SESは「システムエンジニアリングサービス」の略
SES(エスイーエス)とは、「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略称です。
簡単に言うと、SES企業に所属するエンジニアが、クライアント企業に常駐して技術サービスを提供するという働き方です。
SESの契約形態は「準委任契約」
SESの大きな特徴は、「準委任契約」という契約形態にあります。
準委任契約では、「成果物の完成」ではなく「技術力の提供(労働)」に対して報酬が支払われます。
つまり、「このシステムを作ってください」という成果物の納品責任を負うのではなく、「エンジニアとしての技術力を提供する」という契約です。
SESの基本的な構造
【クライアント企業】
│
│ 技術サービスの提供を依頼(準委任契約)
│
▼
【SES企業】
│
│ 雇用関係(正社員 or 契約社員)
│
▼
【エンジニア(あなた)】
│
│ クライアント先に常駐して業務
│
▼
【クライアントのオフィス】
ポイントは、雇用主はあくまでSES企業であり、クライアント企業ではないという点です。給与の支払いや福利厚生は、所属するSES企業から受けます。
なお、SES企業によって雇用形態は異なります。契約社員として雇用する会社もあれば、正社員として雇用する会社もあります。安定性を重視するなら、正社員雇用のSES企業を選ぶことをおすすめします。
SES・派遣・請負の違い
「SESと派遣って同じじゃないの?」という疑問をよく聞きます。似ているようで、実は大きな違いがあります。
| 項目 | SES(準委任契約) | 派遣 | 請負 |
|---|---|---|---|
| 契約形態 | 準委任契約 | 労働者派遣契約 | 請負契約 |
| 指揮命令権 | SES企業 | 派遣先企業 | 請負企業 |
| 報酬の対象 | 技術力の提供 | 労働力の提供 | 成果物の納品 |
| 納品責任 | なし | なし | あり |
最大の違いは「指揮命令権」
派遣の場合、派遣先企業が直接エンジニアに業務指示を出せます。
一方、SESの場合、指揮命令権はSES企業にあります。クライアント企業が直接エンジニアに細かい業務指示を出すことは、本来の契約上はできません。
ただし、実際の現場では、この境界が曖昧になっているケースもあり、業界の課題として指摘されることもあります。
SESのメリット
ここからは、SESで働くメリットを紹介します。
メリット①:さまざまな現場を経験できる
SESでは、プロジェクトごとに異なるクライアント企業で働くことが多いです。
そのため、複数の業界・システム・開発環境を経験できるというメリットがあります。
- 金融系のシステム開発
- ECサイトの構築
- 業務システムの保守運用
自社開発企業に入社すると、基本的にその会社のサービスだけに関わります。一方、SESなら幅広い経験を積めるため、「自分がどんな分野に向いているか」を見つけやすいのです。
特に、短いスパンで現場を変えられるSES企業を選べば、効率よく多様な経験を積むことができます。
メリット②:未経験でも採用されやすい
IT業界は慢性的な人材不足が続いています。そのため、SES企業は未経験者を積極的に採用し、育成する傾向があります。
自社開発企業やWeb系企業は経験者を求めることが多く、未経験からの転職は狭き門です。
SESは、「まずIT業界に入って実務経験を積む」という第一歩として最適な選択肢と言えます。
メリット③:大手企業のプロジェクトに関われる
SESでは、自分が直接入社できないような大手企業のプロジェクトに参画できる可能性があります。
たとえば、大手銀行のシステム開発や、有名企業のサービス開発など。通常であれば難関の選考を通過しなければ関われない仕事に、SES経由で携われることもあります。
メリット④:人間関係のリセットがしやすい
「今の職場の人間関係がつらい…」という悩みは、どの業界でもあります。
SESの場合、プロジェクトが変われば働く場所も一緒に働く人も変わります。もし合わない現場があっても、次のプロジェクトで環境をリセットできる可能性があります。
メリット⑤:残業が比較的少ない傾向
SESは「技術力の提供時間」に対して報酬が発生するため、契約で定められた時間以上の労働は、追加費用が発生します。
そのため、クライアント側もコストを抑えるために無駄な残業を避ける傾向があります。もちろん現場によりますが、「定時で帰りやすい」というSESエンジニアの声も多いです。
SESのデメリット
次に、SESのデメリットも正直にお伝えします。
デメリット①:現場によって当たり外れがある
SESの最大のデメリットは、配属される現場によって働きやすさが大きく変わることです。
- 最新技術を使えるモダンな現場もあれば、古い技術ばかりの現場もある
- 教育体制が整っている現場もあれば、放置される現場もある
- 人間関係が良好な現場もあれば、そうでない現場もある
これは自分でコントロールしにくい部分であり、「入ってみないとわからない」というリスクがあります。
ただし、現場を短期間で変えられるSES企業であれば、合わない現場に長くとどまるリスクを減らせます。
デメリット②:帰属意識を持ちにくい
SESエンジニアは、所属するSES企業ではなく、クライアント先で働くことがほとんどです。
そのため、「自分の会社」への帰属意識を持ちにくいという声があります。同じ会社の人と顔を合わせる機会が少なく、孤独を感じる人もいます。
デメリット③:スキルアップが自己責任になりがち
現場によっては、単純作業やテストばかりを任されることもあります。
自社開発企業であれば、会社として社員のスキルアップを支援する仕組みがあることが多いですが、SESではスキルアップが本人任せになりやすい面があります。
積極的に学ぶ姿勢がないと、「何年経っても同じレベルの仕事しかできない」という状況に陥るリスクがあります。
デメリット④:年収が上がりにくいケースがある
SES企業とクライアント企業の間には、契約金額(単価)があります。エンジニアの給与は、この単価から人件費やマージンを引いた金額になります。
そのため、自分の単価が上がらないと給与も上がりにくい構造があります。
ただし、これはSES企業によって大きく異なります。単価の還元率が高い会社を選ぶことで、この問題は軽減できます。
「SES=ブラック」は本当か?
ネット上では「SESはブラック」という声を見かけます。正直に言うと、ブラックなSES企業が存在するのは事実です。
しかし、すべてのSES企業がブラックというわけではありません。
ブラックSESの特徴
- 研修がほとんどなく、いきなり現場に放り込まれる
- エンジニアの希望を無視して案件をアサインする
- 単価に対する還元率が極端に低い
- 営業担当が現場の状況を把握していない
- 待機期間(案件がない期間)の給与が大幅カットされる
- 同じ現場に何年も固定され、スキルが偏る
ホワイトSESの特徴
- 未経験者向けの研修制度が整っている
- エンジニアの希望やキャリアプランを考慮して案件を選定
- 単価や評価が透明で、還元率が明確
- 営業担当が定期的に現場をフォローする
- 資格取得支援や勉強会などスキルアップ制度がある
- 正社員として雇用し、安定した待遇を提供する
- 定期的に現場を変え、エンジニアの成長機会を確保する
SES企業を選ぶ際は、会社の体制やサポート内容をしっかり確認することが重要です。
SESに向いている人・向いていない人
SESに向いている人
- 未経験からIT業界に入りたい人
- いろいろな現場や技術を経験したい人
- 環境の変化に柔軟に対応できる人
- 自分から積極的に学ぶ姿勢がある人
- 将来のキャリアを模索中の人
SESに向いていない人
- 一つの会社・サービスにじっくり関わりたい人
- 環境の変化が苦手な人
- 指示待ちで受け身な人
- すでに明確な専門分野がある経験者
SESで後悔しないための会社選びのポイント
最後に、SES企業を選ぶ際にチェックすべきポイントをお伝えします。
① 雇用形態を確認する
SES企業には、正社員雇用と契約社員雇用があります。正社員雇用のSES企業を選べば、雇用の安定性が確保されます。福利厚生や昇給制度も、正社員の方が充実していることが多いです。
② 研修制度の有無と内容
未経験者の場合、入社後の研修が充実しているかは非常に重要です。「研修あり」と書いてあっても、内容が薄い会社もあるため、具体的な期間や内容を確認しましょう。
③ 案件の選定方法と現場変更の頻度
エンジニアの希望を聞いてくれるか、それとも会社都合で一方的にアサインされるか。また、どれくらいの頻度で現場を変えられるかも重要です。
同じ現場に何年も固定されると、スキルや経験が偏ってしまいます。短いスパンで現場を変えてくれる会社であれば、効率よく成長できます。
④ 還元率・評価制度の透明性
単価に対してどれくらいの割合が給与として支払われるのか(還元率)。これが明確な会社は、エンジニアを大切にしている傾向があります。
⑤ 営業担当のフォロー体制
現場に入ってからも、営業担当が定期的に連絡をくれるか。困ったときに相談できる体制があるかを確認しましょう。
まとめ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| さまざまな現場を経験できる | 現場によって当たり外れがある |
| 未経験でも採用されやすい | 帰属意識を持ちにくい |
| 大手企業のプロジェクトに関われる | スキルアップが自己責任になりがち |
| 人間関係のリセットがしやすい | 年収が上がりにくいケースがある |
| 残業が比較的少ない傾向 | 会社選びが非常に重要 |
SESは、良くも悪くも「会社選び」と「本人の姿勢」で大きく変わる働き方です。
ネット上のネガティブな意見だけで判断せず、自分の目で会社を見極めることが大切です。
特に未経験からエンジニアを目指す方にとって、SESは実務経験を積むための現実的な選択肢です。正しい知識を持って、自分に合った会社を選んでください。
SKサービスの「正社員SES」という選択
SKサービスでは、エンジニアを正社員として雇用しています。
「SESは不安定」というイメージがあるかもしれませんが、正社員雇用であれば、安定した給与・福利厚生を受けながらエンジニアとしてのキャリアを築けます。
最短3ヶ月で現場を変更!効率よく経験を積める
SKサービスの特徴は、最短3ヶ月で現場を変更できること。
一般的なSES企業では、同じ現場に1年以上いることも珍しくありません。しかし、それでは経験が偏ってしまいます。
私たちは、エンジニアがさまざまな現場を効率よく経験し、短期間で成長できる環境を整えています。
- いろいろな業界・技術を経験したい
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- 短期間でスキルアップしたい
そんな方に、SKサービスはぴったりの環境です。
まずは話を聞いてみませんか?
「SESで働くことに不安がある」という方も、まずは気軽にご相談ください。あなたの疑問や不安に、正直にお答えします。
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