「AIが発達したら、インフラエンジニアの仕事はなくなるの?」「今から目指しても大丈夫?」
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で、「エンジニアの仕事がAIに奪われるのでは?」という不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、生成AIがインフラエンジニアの仕事にどんな影響を与えるのか、そして今後どう向き合っていくべきかを考えます。
生成AIでできるようになったこと
まず、生成AIがインフラ分野でどんなことに使えるかを見てみましょう。
コード・スクリプトの生成
- シェルスクリプトの作成
- Terraform、Ansibleなどの設定ファイル生成
- Dockerfileの作成
- 設定ファイルのテンプレート生成
トラブルシューティング支援
- エラーメッセージの解説
- 原因の推測と対処法の提案
- ログの分析支援
ドキュメント作成
- 手順書のドラフト作成
- 設計書のテンプレート生成
- コメントやREADMEの作成
学習支援
- 技術的な概念の解説
- コマンドの使い方の説明
- ベストプラクティスの提案
生成AIにはまだ難しいこと
一方で、生成AIには苦手なこと・できないこともあります。
1. 実際のシステムへの操作
AIは「提案」はできても、実際にサーバーにログインして作業することはできません。コマンドを実行し、結果を確認し、次のアクションを判断するのは人間の仕事です。
2. 環境固有の判断
「このシステムではこの設定が適切か」という判断には、その環境の文脈が必要です。AIは一般的な回答はできても、お客様の要件や既存システムとの兼ね合いまでは考慮できません。
3. 責任を持った意思決定
「本番環境に変更を適用していいか」という判断は、AIには任せられません。最終的な責任は人間が負う必要があります。
4. 物理的な作業
データセンターでのケーブル配線、ハードウェアの交換など、物理的な作業はAIにはできません。
5. コミュニケーション
お客様との要件調整、チーム内での調整、障害時の報告など、人と人のコミュニケーションは人間にしかできません。
| AIが得意なこと | 人間が必要なこと |
|---|---|
| コード・設定ファイルの生成 | 実際のシステムへの操作 |
| 一般的な解説・提案 | 環境固有の判断 |
| ドキュメントのドラフト | 責任を持った意思決定 |
| エラーの解説 | 物理的な作業 |
| 学習のサポート | コミュニケーション |
インフラエンジニアの仕事はどう変わる?
生成AIの登場で、インフラエンジニアの仕事は「なくなる」のではなく「変わる」と考えるのが現実的です。
変わること
- 作業効率の向上:AIの支援で、これまで時間がかかっていた作業が短縮
- スキルの底上げ:AIに聞きながら学習できるので、成長スピードが上がる
- 単純作業の減少:定型的なスクリプト作成などはAIに任せられる
変わらないこと
- システムを動かす責任:最終的な判断と責任は人間
- 障害対応の現場力:プレッシャーの中で冷静に対応する力
- お客様との関係構築:信頼を得るためのコミュニケーション
- 設計力・アーキテクチャ力:全体を見据えた設計判断
むしろ重要になること
- AIを使いこなす力:適切な指示を出し、出力を評価する能力
- AIの出力を検証する力:正しいかどうかを判断できる基礎知識
- より高度な判断力:AIがカバーできない領域での意思決定
生成AIとの上手な付き合い方
1. 「便利なツール」として活用する
AIを「脅威」ではなく「便利なアシスタント」として捉えましょう。調べ物、ドラフト作成、アイデア出しなど、時間を節約できる場面で積極的に活用しましょう。
2. 出力を鵜呑みにしない
AIは時々間違えます。特に技術的な内容は、必ず検証してから使いましょう。「AIが言ったから」は言い訳になりません。
3. 基礎知識は身につける
AIの出力を評価するには、基礎知識が必要です。「AIがあるから勉強しなくていい」とはなりません。むしろ、AIを使いこなすために勉強が必要です。
4. AIにできないスキルを伸ばす
コミュニケーション能力、問題解決能力、リーダーシップなど、AIに代替されにくいスキルを意識的に伸ばしましょう。
未経験からインフラエンジニアを目指す人へ
「今からインフラエンジニアを目指しても大丈夫?」という質問への答えは、「はい、大丈夫です」。
むしろチャンス
- 学習効率が上がる:わからないことをAIに聞きながら学べる
- 作業効率が上がる:AIのサポートで、少ない経験でも成果を出しやすい
- 新しい働き方を提案できる:AI活用に抵抗がない世代は強み
大切なこと
- 基礎をしっかり学ぶ(AIの出力を評価するため)
- 実際に手を動かす経験を積む
- AIを積極的に活用する姿勢を持つ
- 人間にしかできない価値を意識する
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| AIにできること | コード生成、エラー解説、ドキュメント作成支援 |
| AIに難しいこと | 実際の操作、環境固有の判断、責任ある意思決定 |
| 仕事の変化 | なくなるのではなく「変わる」 |
| 大切な姿勢 | AIを道具として活用しつつ、基礎力を磨く |
| 未経験者へ | むしろチャンス、AI活用力が武器になる |
生成AIの登場は、インフラエンジニアにとって脅威ではなくチャンスです。AIを上手に活用しながら、人間にしかできない価値を提供していきましょう。
テクノロジーの変化を恐れるのではなく、変化を味方につける姿勢が大切です!