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【AWS入門】EC2とは?仮想サーバーの基本をわかりやすく解説

「AWSを勉強したいけど、EC2って何?」「仮想サーバーってどういうこと?」

エンジニアを目指す方なら、一度は耳にしたことがあるであろうEC2(イーシーツー)。AWSの中でも最も基本的で、最も使われているサービスのひとつです。

この記事では、プログラミング初心者やエンジニア転職を考えている方に向けて、EC2の基本をできるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。

EC2とは?一言でいうと「クラウド上のレンタルパソコン」

EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)とは、AWSが提供する仮想サーバーサービスです。

……と言われても、ピンとこないですよね。

もっと簡単に言うと、「インターネット上にある、自分専用のパソコンをレンタルできるサービス」です。

普段使っているパソコンは、目の前に実物がありますよね。でもEC2は、Amazonのデータセンター(巨大なコンピュータ施設)の中にあるコンピュータを、インターネット経由で借りて使います。

この「物理的に目の前にないけど使えるサーバー」のことを仮想サーバーと呼びます。

なぜ「Elastic(伸縮性のある)」なの?

EC2の「E」はElastic(弾力性のある、伸び縮みする)という意味です。これには重要な理由があります。

従来、会社でサーバーを用意するには、高価な機械を購入して、設置場所を確保して、電気代を払って……と大変でした。しかも一度買ったら、「やっぱり性能が足りない!」となっても簡単には変えられません。

EC2なら、こんなことができます。

  • 数分でサーバーを作れる(機械の購入・設置不要)
  • 性能を自由に変更できる(メモリを増やしたい、CPUを強化したいなど)
  • 使った分だけ支払い(不要になったら削除すればOK)
  • 世界中のどこからでも操作できる

この「柔軟に伸び縮みできる」特性から、Elastic(弾力性のある)という名前がついています。

EC2は何に使うの?具体的な用途

EC2は本当にさまざまな用途で使われています。いくつか例を挙げてみましょう。

1. Webサイト・Webアプリケーションの公開

あなたが作ったWebサイトやWebアプリを、世界中の人がアクセスできるようにするには、サーバーが必要です。EC2を使えば、すぐにサーバーを立ち上げて公開できます。

2. 開発・テスト環境

「本番環境と同じ構成で動作確認したい」というとき、EC2なら同じ設定のサーバーを何台でも作れます。テストが終わったら削除すれば、余計なコストもかかりません。

3. バッチ処理・データ分析

大量のデータを処理したいとき、一時的に高性能なサーバーを借りて処理し、終わったら削除する、という使い方もできます。

覚えておきたい基本用語

EC2を理解するために、最低限知っておきたい用語を紹介します。

インスタンス

EC2で作成した仮想サーバー1台のことを「インスタンス」と呼びます。「EC2インスタンスを立てる」「インスタンスを停止する」のように使います。

ゲームで例えるなら、キャラクターの「セーブデータ」のようなもの。ゲームソフト(設定テンプレート)から、実際にプレイできる状態(インスタンス)を作り出すイメージです。

AMI(Amazon Machine Image)

AMI(エーエムアイ)は、インスタンスの「設計図」のようなものです。OSの種類や、あらかじめインストールしておくソフトウェアなどが定義されています。

たとえば「Amazon Linux 2023」「Ubuntu 24.04」「Windows Server 2022」など、さまざまなAMIが用意されています。

インスタンスタイプ

インスタンスタイプは、サーバーの「性能」を決めるものです。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能などの組み合わせがあらかじめ定義されています。

パソコンを買うとき「Core i5でメモリ16GBのモデル」などと選ぶのと同じ感覚です。

インスタンスタイプの選び方

EC2には非常に多くのインスタンスタイプがあり、初心者の方は「どれを選べばいいの?」と迷ってしまいがちです。

インスタンスタイプは、用途によって「ファミリー」に分類されています。代表的なものを見てみましょう。

ファミリー 特徴 向いている用途
T系(t3、t3aなど) コスパ重視、バースト機能あり 小規模Webサイト、開発環境、学習用
M系(m7i、m8aなど) バランス型、汎用的 一般的なWebアプリ、業務システム
C系(c7i、c8gなど) CPU性能重視 科学計算、動画エンコード、ゲームサーバー
R系(r7i、r8gなど) メモリ重視 データベース、キャッシュサーバー
G/P系 GPU搭載 機械学習、3Dレンダリング

初心者の方への結論:まずは「t3.micro」か「t3.small」から始めましょう。

学習目的や小規模な開発であれば、これで十分です。AWSには無料利用枠(後述)もあるので、まずは試してみることをおすすめします。

インスタンスタイプの読み方

「t3.micro」のような名前には規則があります。

  • t:ファミリー名(この場合はT系=汎用・バースト型)
  • 3:世代(数字が大きいほど新しい)
  • micro:サイズ(nano < micro < small < medium < large < xlarge…)

つまり「t3.micro」は「T系ファミリーの第3世代、microサイズ」という意味です。

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EC2の料金体系

EC2の料金は、主に以下の要素で決まります。

1. インスタンスの稼働時間

EC2は「使った時間」に対して課金されます(秒単位)。サーバーを停止すれば、その間は課金されません。

2. インスタンスタイプ

高性能なインスタンスほど料金が高くなります。t3.microとt3.xlargeでは、料金が大きく異なります。

3. 購入オプション

オプション 特徴 割引率目安
オンデマンド 使った分だけ支払い、いつでも開始・停止可能 なし(基本料金)
リザーブドインスタンス 1年〜3年の利用を約束して割引 最大72%オフ
Savings Plans 一定の利用量を約束して割引 最大66%オフ
スポットインスタンス 余剰キャパシティを格安で利用(中断あり) 最大90%オフ

初心者の方は、まずはオンデマンドで試しましょう。本格的に運用する段階になったら、コスト削減のために他のオプションを検討します。

無料利用枠(Free Tier)

AWSには無料利用枠があり、アカウント作成から12ヶ月間は以下が無料で使えます。

  • t2.micro または t3.micro インスタンス:月750時間まで
  • EBS(ストレージ):30GBまで

学習目的なら、この無料枠内で十分に試せます。ただし、使い終わったらインスタンスを停止・削除することを忘れずに!放置すると課金が発生してしまいます。

EC2を使う流れ(ざっくり解説)

実際にEC2を使う流れを、ざっくりと見てみましょう。

  1. AWSアカウントを作成:クレジットカードが必要です
  2. EC2ダッシュボードにアクセス:AWSマネジメントコンソールから
  3. インスタンスを起動:AMIとインスタンスタイプを選択
  4. キーペアを作成:サーバーに接続するための「鍵」
  5. セキュリティグループを設定:どの通信を許可するか(ファイアウォール)
  6. SSHで接続:ターミナルからサーバーに接続して操作

詳しい手順は、別の記事「【ハンズオン】EC2でWebサーバーを立ててみよう」で解説する予定です。

EC2と一緒に覚えたいAWSサービス

EC2を使ううえで、関連するサービスも知っておくと理解が深まります。

サービス名 役割
VPC EC2を配置するネットワーク環境を作る
EBS EC2のストレージ(ハードディスク)
セキュリティグループ EC2へのアクセス制御(ファイアウォール)
Elastic IP 固定のIPアドレスを割り当てる
IAM EC2の権限管理
CloudWatch EC2の監視(CPU使用率など)

これらについても、今後の記事で詳しく解説していきます。

2025年のEC2トピック

EC2は常に進化しています。2025年の主なトピックをいくつか紹介します。

新しいインスタンスタイプ

2025年には、AMD第5世代プロセッサを搭載したM8aインスタンスが東京リージョンでも利用可能になりました。従来のM7aと比較して最大30%の性能向上が見込めます。

また、AppleのM4チップを搭載したMac M4インスタンスも登場し、iOS/macOSアプリの開発環境としても注目されています。

EC2 Capacity Manager

大規模にEC2を運用する企業向けに、複数のアカウントやリージョンにまたがるインスタンス管理を一元化できるEC2 Capacity Managerがリリースされました。

Lambda Managed Instances

サーバーレスのLambdaをEC2上で動かせるLambda Managed Instancesという新機能も発表されました。サーバーレスの手軽さとEC2の柔軟性を両立できる選択肢として注目されています。

まとめ

この記事で解説した内容をまとめます。

項目 ポイント
EC2とは AWSが提供する仮想サーバーサービス。クラウド上のレンタルパソコン
メリット 数分で作成、柔軟に変更、従量課金、世界中からアクセス可能
インスタンス EC2で作った仮想サーバー1台のこと
インスタンスタイプ サーバーの性能(CPU、メモリなど)を決める。初心者はt3.microから
料金 使った時間×インスタンスタイプで決まる。無料枠もあり
関連サービス VPC、EBS、セキュリティグループなどと組み合わせて使う

EC2は、クラウドエンジニアとして避けて通れない基本中の基本です。まずは無料枠を使って、実際に触ってみることをおすすめします。

「難しそう……」と思っていた方も、一度触ってみると「意外とできる!」と感じるはずです。

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