「未経験からエンジニアになれるの？」
「何から始めればいいかわからない…」
IT業界への転職を考えている方なら、こんな不安を抱えているのではないでしょうか。
結論から言うと、未経験からエンジニアになることは十分可能です。ただし、簡単な道のりではありません。
この記事では、未経験からエンジニアになるための現実的なロードマップを、甘い話だけでなく厳しい現実も含めて正直にお伝えします。
未経験からエンジニアになれる？現実を知ろう
IT業界は慢性的な人材不足
経済産業省の調査によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。
この人材不足を背景に、多くの企業が未経験者を採用し、育成する方針を取っています。特にSES企業や一部のWeb系企業では、未経験者向けの採用枠を設けているところも少なくありません。
ただし「誰でもなれる」わけではない
人材不足とはいえ、何の努力もせずにエンジニアになれるわけではありません。
企業が求めているのは「未経験でも学ぶ意欲がある人」「基礎的な知識を自分で身につけられる人」です。
「プログラミングを少しも勉強したことがない」「何も作ったことがない」という状態では、採用は難しいのが現実です。
未経験転職の成功に必要なもの
- 基礎的なプログラミングスキル
- 自分で学び続ける姿勢
- ポートフォリオ（自分で作った成果物）
- IT業界への理解
- ある程度の学習時間の確保
これらを準備したうえで転職活動に臨めば、未経験からでもエンジニアへの道は開けます。
エンジニアの種類を知ろう
「エンジニア」と一口に言っても、実はさまざまな職種があります。自分がどんなエンジニアを目指すのかを明確にしましょう。
| 職種 | 主な仕事内容 | 使う技術の例 |
|---|---|---|
| Webエンジニア | WebサイトやWebアプリの開発 | HTML, CSS, JavaScript, PHP, Ruby |
| システムエンジニア（SE） | 業務システムの設計・開発 | Java, C#, SQL |
| インフラエンジニア | サーバーやネットワークの構築・運用 | Linux, AWS, ネットワーク知識 |
| アプリエンジニア | スマホアプリの開発 | Swift, Kotlin, Flutter |
| データエンジニア | データ基盤の構築・分析 | Python, SQL, BigQuery |
未経験者におすすめの職種
未経験から目指しやすいのは、以下の職種です。
① Webエンジニア（フロントエンド）
HTML/CSS/JavaScriptを使ったWebサイト制作は、学習の成果が目に見えやすく、挫折しにくいです。
② インフラエンジニア
プログラミングよりも「サーバーやネットワークの知識」が重視されるため、文系出身者にも人気があります。資格（CCNA、LinuCなど）を取得することで未経験でも評価されやすいです。
③ システムエンジニア（SE）
SES企業で多く募集されている職種です。Javaなどの言語を学び、業務システムの開発に携わります。
未経験からエンジニアになる3つのルート
未経験からエンジニアになるルートは、大きく分けて3つあります。
ルート①：独学で学ぶ
メリット：
- 費用がほとんどかからない
- 自分のペースで学習できる
デメリット：
- 挫折率が高い（約9割が挫折するとも言われる）
- わからないことを質問できない
- 何を学べばいいかわかりにくい
向いている人：
自己管理ができる人、調べる力がある人、時間に余裕がある人
ルート②：プログラミングスクールに通う
メリット：
- カリキュラムに沿って効率的に学べる
- わからないことを質問できる
- 転職サポートがある場合も
デメリット：
- 費用が高い（数十万円〜100万円以上）
- スクールの質にばらつきがある
- 「スクール卒」だけでは評価されにくい
向いている人：
短期間で集中して学びたい人、独学に自信がない人、費用を投資できる人
ルート③：未経験OKの企業に入社して実務で学ぶ
メリット：
- 給料をもらいながらスキルを身につけられる
- 実務経験が積める（これが最も価値がある）
- 現場で必要なスキルを効率的に学べる
デメリット：
- 最低限の基礎知識は必要
- 入社後に努力が求められる
- 会社選びを間違えると成長できない
向いている人：
早く現場に出たい人、お金をかけずに学びたい人、実践的なスキルを身につけたい人
現実的には「③」がおすすめ
結論として、最低限の基礎を独学で身につけ、未経験OKの企業に入社するのが最も現実的なルートです。
なぜなら、エンジニアのスキルは実務でしか身につかない部分が大きいからです。
どれだけスクールで学んでも、実際の開発現場で使う技術やチームでの働き方は、現場に入らないとわかりません。
であれば、早めに現場に入り、実務を通じて成長する方が効率的です。
現実的なロードマップ（6ヶ月プラン）
ここからは、未経験からエンジニアになるための具体的なロードマップを紹介します。
【1〜2ヶ月目】基礎学習期間
目標：プログラミングの基礎を理解する
やること：
- Progateやドットインストールで基礎を学ぶ
- HTML/CSS/JavaScriptを一通り触る
- 目指す職種を決める
学習時間の目安：平日2時間、休日4時間（週18時間程度）
この段階では、「プログラミングとは何か」を体感することが目的です。完璧に理解する必要はありません。
【3〜4ヶ月目】実践学習期間
目標：簡単なものを自分で作れるようになる
やること：
- 学びたい言語を1つ選んで深掘り
- 簡単なWebサイトやアプリを作成
- GitとGitHubの基本を学ぶ
- エラーを自分で解決する経験を積む
学習時間の目安：平日2時間、休日5時間（週20時間程度）
この段階では、「自分で調べて、自分で解決する」という経験を積むことが重要です。これはエンジニアとして働くうえで最も大切なスキルです。
【5ヶ月目】ポートフォリオ作成
目標：転職活動で見せられる成果物を作る
やること：
- オリジナルのWebサイトまたはアプリを作成
- GitHubにコードを公開
- READMEに概要や技術スタックを記載
ポートフォリオのポイント：
- 「何を作ったか」より「なぜ作ったか」が大事
- 完璧でなくていい。「自分で考えて作った」ことに価値がある
- できればデプロイ（公開）して、実際に動くものを見せられるとベスト
【6ヶ月目】転職活動
目標：内定を獲得する
やること：
- 履歴書・職務経歴書の作成
- 求人への応募（20〜30社が目安）
- 面接対策
応募先の選び方：
- 「未経験OK」「研修制度あり」の求人を探す
- SES企業は未経験者を積極採用しているところが多い
- 口コミサイトで評判をチェックする
未経験者が身につけるべきスキル
技術スキルだけでなく、以下のスキルも重要です。
① 自走力（自分で調べて解決する力）
エンジニアの仕事は、わからないことを調べて解決することの連続です。
「教えてもらえないとできない」という姿勢では、現場で苦労します。Google検索や公式ドキュメントを読んで自分で解決する習慣をつけましょう。
② コミュニケーション能力
「エンジニアは黙々とコードを書く仕事」というイメージがあるかもしれませんが、実際はチームで働く仕事です。
質問の仕方、報告の仕方、相談のタイミングなど、コミュニケーション能力は非常に重要です。
③ 論理的思考力
プログラミングは「こうしたら、こうなる」という論理の積み重ねです。
物事を順序立てて考える力、原因と結果を整理する力が求められます。これは学習や実務を通じて徐々に身につきます。
未経験エンジニアのよくある失敗パターン
転職活動でつまずく人には、共通するパターンがあります。
失敗①：学習だけで満足してしまう
Progateを何周もしたり、チュートリアルを何本も見たりしても、自分で作らないと実力はつきません。
「学習」は目的ではなく手段。早めに「作る」フェーズに移行しましょう。
失敗②：完璧を求めすぎる
「もっと勉強してから応募しよう」と思っているうちに、時間だけが過ぎていきます。
未経験者に完璧なスキルを求める企業はありません。「基礎がわかっていて、学ぶ意欲がある」ことが伝われば十分です。
失敗③：会社選びを妥協する
「どこでもいいから早く入りたい」と焦って、ブラック企業に入ってしまうケースがあります。
特にSES企業は会社によって待遇や環境が大きく異なります。研修制度、雇用形態、現場変更の仕組みなどをしっかり確認しましょう。
失敗④：入社後に学習をやめる
入社がゴールではありません。エンジニアは一生学び続ける仕事です。
入社後も自己学習を続けないと、いつまでも成長できません。
年代別のアドバイス
20代の場合
最も転職しやすい年代です。ポテンシャル採用（将来性を見込んだ採用）が期待できるため、多少スキルが足りなくても採用されやすいです。
迷っているなら、早めに行動することをおすすめします。
30代の場合
20代に比べるとハードルは上がりますが、十分に転職可能です。
ただし、ポテンシャルだけでなく「何を学んできたか」「なぜエンジニアになりたいのか」を明確に伝える必要があります。
前職での経験（マネジメント、顧客折衝など）をアピールできると有利です。
40代以降の場合
正直に言うと、ハードルは高くなります。しかし、不可能ではありません。
特にインフラエンジニアや、前職の業界知識を活かせる分野であれば、可能性は広がります。
まとめ：未経験からエンジニアになるためのロードマップ
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | Progateなどで基礎学習、目指す職種を決める |
| 3〜4ヶ月目 | 言語を深掘り、簡単なものを作る、Git/GitHub学習 |
| 5ヶ月目 | ポートフォリオ作成、GitHubに公開 |
| 6ヶ月目 | 転職活動、面接対策 |
未経験からエンジニアになることは可能です。ただし、それには努力と正しい方向性が必要です。
大切なのは、以下の3つ。
- まず手を動かす（学習より実践）
- 早めに現場に出る（実務経験が最も価値がある）
- 会社選びを妥協しない（成長できる環境を選ぶ）
この記事が、あなたのエンジニア転職の第一歩になれば幸いです。
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