「オンプレミスって何?」「クラウドと何が違うの?」
IT業界で働いていると、「オンプレミス」と「クラウド」という言葉をよく耳にします。
どちらもサーバーやシステムの「置き場所」に関する言葉ですが、特徴やメリット・デメリットが大きく異なります。
この記事では、オンプレミスとクラウドの違いを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
オンプレミスとは?
オンプレミス(On-Premises)は、自社でサーバーやネットワーク機器を購入・設置・運用する方式です。
「Premises」は「敷地・建物」という意味で、「自社の敷地内にサーバーを置く」イメージです。
「持ち家」で考えてみよう
住居に例えると、オンプレミスは「持ち家」です。
- 自分で土地と家を買う(初期投資が大きい)
- 修理やメンテナンスは自分でやる
- 好きなようにリフォームできる
- 一度建てたら簡単には引っ越せない
クラウドとは?
クラウド(Cloud)は、インターネット経由でサーバーやサービスを「借りる」方式です。
AWS、Azure、GCPなどがクラウドサービスの代表例です。
「賃貸」で考えてみよう
クラウドは「賃貸マンション」のようなものです。
- 家賃(月額料金)を払って住む
- 修理やメンテナンスは管理会社(クラウド事業者)がやる
- ライフスタイルに合わせて引っ越しやすい
- 大規模なリフォームは難しい
オンプレミスとクラウドの比較
| 項目 | オンプレミス | クラウド |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い(機器購入) | 低い(従量課金) |
| 運用コスト | 人件費、電気代など | 使った分だけ |
| 導入スピード | 数週間〜数ヶ月 | 数分〜数時間 |
| スケーラビリティ | 増設に時間がかかる | すぐに拡張可能 |
| カスタマイズ性 | 自由度が高い | 制限あり |
| セキュリティ管理 | 自社で完全コントロール | クラウド事業者と共同 |
| 障害対応 | 自社で対応 | クラウド事業者が対応 |
オンプレミスのメリット・デメリット
メリット
- カスタマイズ自由:ハードウェアもソフトウェアも自由に選べる
- セキュリティを完全管理:機密データを自社で厳格に管理できる
- 長期的にはコスト安:長期間使うなら、トータルコストが安くなる場合も
- ネットワーク遅延が少ない:社内ネットワークだけで完結
デメリット
- 初期投資が大きい:サーバー購入、設置場所、電源など
- 運用負担が大きい:障害対応、バックアップ、セキュリティ対策
- 拡張に時間がかかる:急な増加に対応しにくい
- 専門人材が必要:インフラを管理できるエンジニアが必要
クラウドのメリット・デメリット
メリット
- 初期費用が安い:機器を買わなくていい
- すぐに始められる:数クリックでサーバーが立ち上がる
- スケーラブル:アクセス増加に合わせて柔軟に拡張
- 運用負担が軽い:ハードウェア管理はクラウド事業者にお任せ
- 災害対策が容易:複数リージョンにバックアップ
デメリット
- 長期的にはコスト高になる場合も:使い続けると費用がかさむ
- カスタマイズに制限:クラウド事業者の仕様に従う必要
- インターネット依存:ネット障害の影響を受ける
- データの所在:機密データを外部に預けることへの懸念
どちらを選ぶべき?
「結局どっちがいいの?」という疑問に答えます。
クラウドが向いているケース
- スタートアップ・新規事業:初期費用を抑えたい
- アクセス変動が大きい:キャンペーン時だけ増強したい
- すぐに始めたい:スピード重視
- グローバル展開:世界中にサービスを届けたい
オンプレミスが向いているケース
- 機密性の高いデータ:金融、医療、政府機関など
- 長期的に安定稼働:変更が少なく長く使うシステム
- 特殊なハードウェア:クラウドでは提供されない機器が必要
- 厳格なコンプライアンス:法規制でデータの国内保管が必須
ハイブリッドクラウドという選択肢
最近は、オンプレミスとクラウドを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」も増えています。
- 機密データはオンプレミスで管理
- Webサイトやアプリはクラウドで運用
- バックアップはクラウドに保存
それぞれの良いとこ取りができる方式として、多くの企業が採用しています。
現在のトレンド
IT業界全体では、クラウドへの移行(クラウドシフト)が進んでいます。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
- コロナ禍でのリモートワーク対応
- AI・ビッグデータ活用のためのクラウド基盤
ただし、すべてがクラウドになるわけではありません。オンプレミスも引き続き重要な選択肢です。
インフラエンジニアとしては、両方を理解しておくことが大切です。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | オンプレミス | クラウド |
|---|---|---|
| イメージ | 持ち家 | 賃貸 |
| 初期費用 | 高い | 低い |
| 運用負担 | 大きい | 小さい |
| 柔軟性 | 拡張に時間 | すぐ拡張可能 |
| 向いている | 機密データ、長期安定 | スタートアップ、変動対応 |
オンプレミスとクラウド、どちらが正解ということはありません。
目的や状況に応じて使い分けることが大切です。両方の特徴を理解しておくと、インフラエンジニアとしての視野が広がりますよ!
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