「OWASPって何?」「セキュリティの勉強って何から始めればいいの?」
Webセキュリティを学ぼうとすると必ず出てくるOWASP Top 10。これは、Webアプリケーションで最も注意すべきセキュリティリスクのトップ10をまとめたリストです。
この記事では、OWASP Top 10とは何か、どんなリスクがランクインしているのか、エンジニアとして何を押さえておくべきかを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
OWASPとは?
まず、OWASPについて理解しましょう。
OWASP(Open Web Application Security Project)は、Webアプリケーションのセキュリティ向上を目的とした非営利団体です。2001年に設立され、世界中のセキュリティ専門家がボランティアで参加しています。
OWASPは、セキュリティに関する様々なドキュメント、ツール、ガイドラインを無償で公開しています。その中でも最も有名なのが「OWASP Top 10」です。
OWASP Top 10とは?
OWASP Top 10は、Webアプリケーションにおける最も重大なセキュリティリスクを10個にまとめたリストです。
数年ごとに更新されており、最新版は2021年版です(2025年現在)。世界中のセキュリティ専門家の知見と、実際のセキュリティインシデントのデータに基づいて作成されています。
なぜOWASP Top 10を学ぶべきなのか
- 業界標準:多くの企業がセキュリティ要件の基準として採用
- 網羅的:主要な脆弱性を効率よく学べる
- 実践的:実際の被害事例に基づいている
- 採用面接:セキュリティ知識を問われる際の定番トピック
OWASP Top 10(2021年版)の全リスト
では、具体的にどんなリスクがランクインしているのか見ていきましょう。
| 順位 | リスク名 | 概要 |
|---|---|---|
| A01 | アクセス制御の不備 | 権限のない操作ができてしまう |
| A02 | 暗号化の失敗 | 機密データの保護が不十分 |
| A03 | インジェクション | SQLインジェクション、XSSなど |
| A04 | 安全でない設計 | 設計段階でのセキュリティ考慮不足 |
| A05 | セキュリティ設定のミス | 不適切な設定、デフォルト設定の放置 |
| A06 | 脆弱なコンポーネント | 古いライブラリ、既知の脆弱性 |
| A07 | 認証の不備 | ログイン機能の脆弱性 |
| A08 | ソフトウェアとデータの整合性の不備 | 更新機能やCI/CDの安全性 |
| A09 | ログと監視の不備 | 攻撃の検知・対応が遅れる |
| A10 | SSRF | サーバー側リクエスト偽造 |
各リスクの詳細解説
ここからは、各リスクの内容と対策のポイントを解説します。
A01:アクセス制御の不備(Broken Access Control)
2021年版で1位にランクアップした、最も重大なリスクです。
「アクセス制御の不備」とは、ユーザーが本来アクセスできないはずのデータや機能にアクセスできてしまう状態です。
具体例:
- URLのIDを変えるだけで他人のデータが見れる(例:/user/123 → /user/124)
- 一般ユーザーが管理者機能を使える
- 削除権限がないのにデータを削除できる
対策:
- すべてのリクエストで権限チェックを行う
- 「デフォルトで拒否」の原則を採用
- ログに記録してアクセス制御の失敗を監視
A02:暗号化の失敗(Cryptographic Failures)
機密データの保護が不十分な状態です。
具体例:
- パスワードを平文(暗号化せず)で保存
- HTTPSを使っていない
- 古い暗号化アルゴリズムを使用
対策:
- パスワードはハッシュ化(bcrypt、Argon2など)
- 通信はすべてHTTPS化
- 最新の暗号化アルゴリズムを使用
A03:インジェクション(Injection)
SQLインジェクション、XSS、コマンドインジェクションなど、不正なコードを注入する攻撃の総称です。
対策:
- プレースホルダ(プリペアドステートメント)を使用
- 出力時のエスケープ処理
- 入力値の検証
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カジュアル面談を予約するA04:安全でない設計(Insecure Design)
2021年版で新設されたカテゴリです。コードの実装ミスではなく、設計段階でセキュリティが考慮されていない問題を指します。
具体例:
- パスワードリセット機能で「秘密の質問」を使う(推測されやすい)
- ブルートフォース攻撃への対策がない
- 重要な操作に確認ステップがない
対策:
- 設計段階でセキュリティレビューを実施
- 脅威モデリングを行う
- セキュリティのベストプラクティスを採用
A05:セキュリティ設定のミス(Security Misconfiguration)
不適切な設定によるセキュリティリスクです。
具体例:
- デフォルトのパスワードを変更していない
- 不要な機能やポートが有効なまま
- エラーメッセージで内部情報が漏れる
- セキュリティヘッダーが設定されていない
対策:
- 本番環境の設定を見直す
- 不要な機能は無効化
- セキュリティヘッダーを適切に設定
A06:脆弱で古くなったコンポーネント(Vulnerable and Outdated Components)
既知の脆弱性があるライブラリやフレームワークを使用している状態です。
具体例:
- 古いバージョンのjQueryを使用
- 脆弱性が報告されたnpmパッケージを放置
- サポート終了したOSやミドルウェアを使用
対策:
- 使用コンポーネントのバージョン管理
- 定期的な脆弱性チェック(npm audit、Dependabotなど)
- 不要なコンポーネントの削除
A07:認証の不備(Identification and Authentication Failures)
ログイン機能の実装に問題がある状態です。
具体例:
- 弱いパスワードを許可
- ブルートフォース攻撃への対策がない
- セッション管理が不適切
- 多要素認証がない
対策:
- 強力なパスワードポリシー
- ログイン試行回数の制限
- 多要素認証の導入
- セッションの適切な管理
A08:ソフトウェアとデータの整合性の不備(Software and Data Integrity Failures)
ソフトウェア更新やCI/CDパイプラインのセキュリティに関する問題です。
具体例:
- 信頼できないソースからのライブラリ使用
- 更新時の署名検証がない
- CI/CDパイプラインへの不正アクセス
対策:
- 信頼できるリポジトリのみを使用
- 署名検証の実施
- CI/CDのアクセス制御
A09:セキュリティログと監視の不備(Security Logging and Monitoring Failures)
攻撃の検知や対応が遅れる問題です。
具体例:
- ログイン失敗のログを記録していない
- ログを監視していない
- アラートの仕組みがない
対策:
- 重要なイベントのログ記録
- ログの定期的な監視
- 異常検知とアラートの仕組み構築
A10:SSRF(Server-Side Request Forgery)
サーバー側からリクエストを偽造させる攻撃です。
具体例:
- URL入力機能で内部サーバーにアクセス
- クラウドのメタデータサービスへの不正アクセス
対策:
- ユーザー入力のURLを検証
- ホワイトリストでアクセス先を制限
- 内部ネットワークへのアクセスをブロック
まとめ
この記事で解説した内容をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OWASPとは | Webセキュリティ向上を目的とした非営利団体 |
| OWASP Top 10とは | Webアプリの10大セキュリティリスク |
| 最新版 | 2021年版(2025年現在) |
| 1位のリスク | アクセス制御の不備 |
| 学ぶメリット | 業界標準、網羅的、実践的、採用で有利 |
OWASP Top 10は、Webセキュリティを学ぶ上での必須知識です。すべてを完璧に理解する必要はありませんが、各リスクの概要と基本的な対策は押さえておきましょう。
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