「アジャイル開発って何?」「ウォーターフォールとの違いは?」
IT業界で働いていると、必ず耳にする「アジャイル開発」という言葉。
求人でも「アジャイル開発経験あり」「スクラムで開発」といった文言をよく見かけます。
でも、「なんとなく聞いたことはあるけど、よくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、アジャイル開発とは何か、従来の開発手法と何が違うのかを「引っ越し」に例えて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
アジャイル開発とは?
アジャイル(Agile)は英語で「素早い」「機敏な」という意味。
アジャイル開発は、小さな単位で開発とリリースを繰り返す開発手法です。
「完璧なものを一度に作る」のではなく、「まず動くものを作って、改善を繰り返す」というアプローチです。
「引っ越し」で考えてみよう
新居への引っ越しを想像してください。
従来の方法(ウォーターフォール的)
- 必要な家具・家電をすべて洗い出す
- 完璧な部屋のレイアウトを設計する
- すべての家具を一度に購入
- すべて揃ってから一気に配置
この方法だと、「実際に住んでみたら使いにくかった」「思ってたのと違った」となっても、やり直しが大変です。
アジャイル的な方法
- まず最低限必要なもの(ベッド、冷蔵庫)だけ用意して住み始める
- 実際に住んでみて、不便なところを発見
- 必要なものを少しずつ買い足す
- 配置も住みながら調整
こちらは、実際に使いながら改善していく方法。最初から完璧を目指さないので、柔軟に対応できます。
ウォーターフォール開発との違い
アジャイルを理解するには、従来の「ウォーターフォール開発」と比較するとわかりやすいです。
ウォーターフォール開発とは?
ウォーターフォール(滝)のように、上から下へ一方向に流れる開発手法。
「要件定義 → 設計 → 開発 → テスト → リリース」の順番で、各工程を完了させてから次に進みます。
2つの手法を比較
| 項目 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 進め方 | 最初に全体を計画 → 一気に作る | 小さく作って → 繰り返し改善 |
| 計画の変更 | 難しい(戻るコストが大きい) | 柔軟に対応できる |
| 完成物を見れる時期 | プロジェクト終盤 | 早い段階から |
| ドキュメント | 詳細に作成 | 必要最小限 |
| 向いている案件 | 要件が明確なもの | 変化が多いもの |
それぞれのメリット・デメリット
ウォーターフォールのメリット
- 計画が立てやすい(スケジュール、予算)
- 大規模プロジェクトで管理しやすい
- ドキュメントがしっかり残る
ウォーターフォールのデメリット
- 途中で要件が変わると対応が大変
- 完成まで動くものが見えない
- 終盤で大きな問題が見つかるリスク
アジャイルのメリット
- 変化に柔軟に対応できる
- 早い段階で動くものを確認できる
- ユーザーの反応を見ながら改善できる
アジャイルのデメリット
- 全体の計画が立てにくい
- スコープが膨らみがち
- チームの成熟度が必要
アジャイル開発の代表的な手法「スクラム」
アジャイル開発には様々な手法がありますが、最も有名なのが「スクラム(Scrum)」です。
スクラムの特徴
スクラムでは、「スプリント」と呼ばれる1〜4週間の期間で開発を区切ります。
- スプリントで何を作るか決める
- 期間内に開発・テストを完了
- 成果物を確認し、振り返り
- 次のスプリントへ
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ確実にプロダクトを成長させます。
スクラムの役割
| 役割 | 担当する人 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| プロダクトオーナー(PO) | 1名 | 何を作るか決める。優先順位をつける |
| スクラムマスター(SM) | 1名 | チームがうまく回るようサポート |
| 開発チーム | 3〜9名 | 実際に開発を行う |
スクラムの主なイベント
| イベント名 | タイミング | 内容 |
|---|---|---|
| スプリントプランニング | スプリント開始時 | 何を作るか計画する |
| デイリースクラム | 毎日(15分) | 進捗共有、課題の確認 |
| スプリントレビュー | スプリント終了時 | 成果物をお披露目 |
| スプリントレトロスペクティブ | スプリント終了時 | 振り返り、改善点を話し合う |
アジャイル開発が求められる理由
なぜ今、アジャイル開発が主流になっているのでしょうか?
1. 変化のスピードが速い
IT業界は変化が激しく、1年前の「正解」が今は通用しないことも。
最初に決めた要件が、開発中に古くなってしまうこともあります。アジャイルなら、変化に柔軟に対応できます。
2. ユーザーの声を反映しやすい
早い段階で動くものを見せて、ユーザーの反応を確認できます。
「思っていたのと違う」を早く発見して、軌道修正できるのです。
3. リスクを分散できる
小さく作って確認を繰り返すので、大きな失敗を避けられます。
ウォーターフォールで終盤に「全然違う」と言われるリスクを減らせます。
アジャイル開発の現場でよく聞く用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| バックログ | やるべき作業のリスト |
| ストーリーポイント | 作業の大きさを表す単位 |
| ベロシティ | チームがスプリントでこなせる作業量 |
| カンバン | 作業の進捗を可視化するボード |
| MVP | 最小限の機能を持つ製品 |
未経験者がアジャイル現場で働くには?
「アジャイル開発の経験がないけど、大丈夫?」という不安を持つ方も多いでしょう。
心配しすぎなくてOK
アジャイルの考え方は、実際に体験しながら覚えるのが一番です。
最初は「よくわからないまま参加する」で大丈夫。デイリースクラムに参加し、スプリントを何回か経験すれば、自然と身につきます。
意識すべきこと
- コミュニケーションを大切に:わからないことは聞く
- 変化を恐れない:要件が変わるのは当たり前
- 小さく完成させる:完璧より「動くもの」を優先
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アジャイル開発とは | 小さな単位で開発・改善を繰り返す手法 |
| ウォーターフォールとの違い | 計画重視 vs 変化対応 |
| 代表的な手法 | スクラム(スプリントで区切って開発) |
| 求められる理由 | 変化への対応、リスク分散、ユーザー重視 |
アジャイル開発は、今のIT業界では「当たり前」の開発手法です。
最初は戸惑うこともありますが、チームで動く楽しさ、少しずつ成長していくプロダクトを見る喜びは、アジャイルならでは。ぜひ実際に体験してみてください!
SKサービスでは、アジャイル開発を採用している現場も多数あります。「アジャイル未経験だけど…」という方も大歓迎!現場で実際にスクラムを体験しながら、働き方を身につけていけます。まずはお気軽にご相談ください!