「DNSって何?」「ドメインとIPアドレスの関係がよくわからない…」
Webサイトにアクセスする時、私たちは「google.com」のようなドメイン名を使います。でも、実際にはコンピュータはIPアドレスでしか通信できません。
この「ドメイン名」と「IPアドレス」を結びつけてくれるのがDNSです。
この記事では、DNSとは何か、どんな仕組みで動いているのかを「電話帳」に例えて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
DNSとは?
DNS(Domain Name System)は、ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みです。
日本語では「ドメインネームシステム」と呼ばれます。
「電話帳」で考えてみよう
友達に電話をかける時を想像してください。
友達の名前は覚えていても、電話番号をすべて暗記している人は少ないですよね。そんな時、電話帳を使います。
- 「田中太郎」で検索 → 「090-1234-5678」が見つかる → 電話をかける
DNSも同じです。
- ドメイン名:友達の名前(google.com)
- IPアドレス:電話番号(142.250.xxx.xxx)
- DNS:電話帳
DNSがあるから、覚えやすいドメイン名でWebサイトにアクセスできるのです。
なぜDNSが必要なのか?
「そもそも、なんでIPアドレスを直接使わないの?」と思うかもしれません。
理由1:人間が覚えられない
IPアドレスは「142.250.196.110」のような数字の羅列。これを何十、何百と覚えるのは不可能ですよね。
「google.com」「amazon.co.jp」のような意味のある文字列の方が、はるかに覚えやすいです。
理由2:IPアドレスは変わることがある
サーバーの引っ越しやシステム変更で、IPアドレスが変わることがあります。
もしIPアドレスを直接使っていたら、変更のたびに全員に新しいIPアドレスを伝える必要があります。
でも、DNSを使えば、ドメイン名はそのままで、裏側のIPアドレスだけ変更できます。ユーザーは変更を意識する必要がありません。
DNSの仕組み
DNSがどのように動いているか、順を追って見てみましょう。
DNSの名前解決の流れ
ブラウザで「www.example.com」にアクセスする時、以下の流れで名前解決が行われます。
- ブラウザがキャッシュを確認:以前アクセスした記録があれば、それを使う
- OSのキャッシュを確認:パソコン内に記録があれば、それを使う
- DNSサーバーに問い合わせ:キャッシュになければ、DNSサーバーに聞く
- DNSサーバーが回答:「www.example.comは93.184.216.34です」
- Webサーバーにアクセス:得られたIPアドレスにアクセス
この「ドメイン名からIPアドレスを調べる」ことを「名前解決」と呼びます。
DNSサーバーの種類
DNSサーバーには役割の異なる種類があります。
| 種類 | 役割 | 例え |
|---|---|---|
| キャッシュDNSサーバー | 問い合わせを受けて、情報を取得・キャッシュ | よく聞かれる番号を覚えている受付 |
| 権威DNSサーバー | ドメインの正式なIPアドレス情報を持つ | 公式の電話帳 |
| ルートDNSサーバー | 最上位のDNSサーバー、世界に13系統 | 電話帳の総本山 |
DNSレコードの種類
DNSには様々な種類の「レコード(記録)」があります。
| レコード | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| Aレコード | ドメイン名をIPv4アドレスに変換 | example.com → 93.184.216.34 |
| AAAAレコード | ドメイン名をIPv6アドレスに変換 | example.com → 2606:2800:… |
| CNAMEレコード | 別名(エイリアス)を設定 | www.example.com → example.com |
| MXレコード | メールサーバーを指定 | example.comのメールはmail.example.comへ |
| TXTレコード | テキスト情報を格納 | ドメイン認証などに使用 |
| NSレコード | 権威DNSサーバーを指定 | このドメインのDNSサーバーはここ |
最も基本的なのはAレコード。「このドメインのIPアドレスはこれ」という情報を持っています。
DNSを確認する方法
DNSの設定や名前解決を確認するコマンドを紹介します。
nslookupコマンド
Windows、Mac、Linuxで使えるコマンドです。
nslookup google.com
これを実行すると、google.comのIPアドレスが表示されます。
digコマンド(Mac/Linux)
より詳細な情報を確認できるコマンドです。
dig google.com
DNSに関するトラブル
DNSが原因で起こるトラブルもあります。
「サイトにアクセスできない」
DNSサーバーに障害が起きると、ドメイン名からIPアドレスを調べられず、Webサイトにアクセスできなくなります。
2021年には大手クラウドサービスのDNS障害で、多くのWebサイトがダウンしたこともありました。
解決策
- 別のDNSサーバーを使う:Google Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare DNS(1.1.1.1)など
- キャッシュをクリア:古い情報が残っている場合
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| DNSとは | ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組み |
| 例え | インターネットの「電話帳」 |
| なぜ必要? | 覚えやすいドメイン名でアクセスできる |
| 主なレコード | Aレコード(IPv4)、MXレコード(メール)など |
| 確認コマンド | nslookup、dig |
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