「Reactを学んだ後、Next.jsも学ぶべき?」「Next.jsって何ができるの?」
Reactを学んでいると必ず耳にする「Next.js」。実は今、多くの企業がReactではなくNext.jsを採用するケースが増えています。
この記事では、プログラミング初心者の方でもわかるように、Next.jsの基本から実際に何ができるのかまで、丁寧に解説していきます。
Next.jsとは?Reactをパワーアップさせるフレームワーク
Next.jsは、Vercel社が開発したReactベースのWebアプリケーションフレームワークです。簡単に言うと、Reactをより便利に、より高機能にしたものと考えてください。
Reactは「ライブラリ」なので、UIの構築に特化しています。一方、Next.jsは「フレームワーク」として、ルーティング(ページ遷移)やデータ取得、画像最適化など、Webアプリケーション開発に必要な機能を最初から備えています。
なぜNext.jsが必要なの?
Reactだけでも素晴らしいアプリは作れます。しかし、以下のような場面ではReact単体では対応が難しくなります。
- SEO(検索エンジン最適化)が必要なWebサイト
- ページの初期表示速度を改善したい
- ルーティングやデータ取得を効率的に行いたい
- 本番環境へのデプロイを簡単にしたい
Next.jsを使えば、これらの課題をスマートに解決できます。
Next.jsを使っている企業・サービス
Next.jsは、世界中の大手企業で採用されています。
- Netflix
- TikTok
- Twitch
- Hulu
- Nike
- Uber
- GitHub(ドキュメントサイト)
日本でも、多くのスタートアップや大手企業がNext.jsを採用しています。
Next.jsの4つの特徴
Next.jsが選ばれる理由を、4つの特徴から解説します。
1. サーバーサイドレンダリング(SSR)
通常のReactアプリは、ブラウザ(クライアント側)でHTMLを生成します。これをクライアントサイドレンダリング(CSR)と呼びます。
一方、Next.jsはサーバー側でHTMLを生成してからブラウザに送信できます。これがサーバーサイドレンダリング(SSR)です。
| レンダリング方式 | 説明 | メリット |
|---|---|---|
| CSR(クライアント) | ブラウザでHTMLを生成 | サーバー負荷が低い |
| SSR(サーバー) | サーバーでHTMLを生成 | SEOに強い、初期表示が速い |
| SSG(静的生成) | ビルド時にHTMLを生成 | 最速の表示速度 |
SSRを使うと、Googleなどの検索エンジンがページの内容を正しく認識しやすくなり、SEO対策として効果的です。
2. ファイルベースルーティング
Next.jsでは、フォルダ構造がそのままURLになる仕組みを採用しています。
app/
├── page.js → /
├── about/
│ └── page.js → /about
├── blog/
│ ├── page.js → /blog
│ └── [slug]/
│ └── page.js → /blog/記事名
React Routerのように複雑なルーティング設定を書く必要がなく、直感的にページを追加できます。
3. 自動的な最適化
Next.jsは、様々な最適化を自動で行ってくれます。
- 画像の自動最適化:適切なサイズ・フォーマットに変換
- コード分割:必要なJavaScriptだけを読み込む
- プリフェッチ:リンク先のページを事前に読み込む
- フォント最適化:Webフォントの読み込みを効率化
開発者が意識しなくても、高速なWebサイトが作れるのは大きなメリットです。
4. フルスタック開発が可能
Next.jsでは、APIルートという機能を使って、バックエンドの処理も同じプロジェクト内で書けます。
// app/api/hello/route.js
export async function GET() {
return Response.json({ message: 'Hello from API!' })
}
これにより、フロントエンドとバックエンドを別々に管理する必要がなく、効率的な開発が可能になります。
Next.js 16の新機能【2025年最新】
2025年10月にNext.js 16がリリースされました。2025年12月現在の最新バージョンはNext.js 16.1です。
主な新機能
- Cache Components:キャッシュをより明確かつ柔軟に制御できる新機能
- Turbopack(安定版):すべてのアプリでデフォルトのバンドラーに
- React Compiler対応(安定版):自動メモ化の統合
- ルーティングの強化:ナビゲーションとプリフェッチの最適化
- React 19.2サポート:View Transitionsなど最新機能に対応
Turbopackとは
Turbopackは、Next.jsの開発元Vercelが作った新しいバンドラーです。従来のWebpackと比べて大幅に高速化されており、開発時の待ち時間が短縮されます。
Next.js 16からは、Turbopackがデフォルトで有効になり、さらにファイルシステムキャッシュ機能も追加されて、開発体験が大きく向上しています。
ReactとNext.jsの違い
ReactとNext.jsの違いを整理してみましょう。
| 項目 | React | Next.js |
|---|---|---|
| 種類 | ライブラリ | フレームワーク |
| ルーティング | React Routerなど別途必要 | 標準で搭載 |
| SEO | 追加の対策が必要 | SSR/SSGで標準対応 |
| APIサーバー | 別途構築が必要 | API Routesで対応可能 |
| 画像最適化 | 自分で実装 | 標準で搭載 |
| デプロイ | 設定が必要 | Vercelで簡単デプロイ |
| 学習コスト | React単体は比較的低い | React + αの知識が必要 |
どちらを学ぶべき?
結論から言うと、Reactの基礎を学んだ後、Next.jsに進むのがおすすめです。
Next.jsはReactの上に構築されているため、Reactの知識は必須です。ただし、2025年現在の求人市場では「React」よりも「Next.js」を指定する企業が増えています。
実際のプロジェクトでは、React単体で開発するケースは減っており、Next.jsやRemixなどのフレームワークを使うのが主流になっています。
Next.jsの基本的な書き方
Next.jsの基本的なコードを見てみましょう。
ページの作成
Next.js 13以降の「App Router」では、以下のようにページを作成します。
// app/page.js(トップページ)
export default function Home() {
return (
<main>
<h1>Welcome to Next.js!</h1>
<p>これはトップページです。</p>
</main>
)
}
レイアウトの共通化
ヘッダーやフッターなど、全ページで共通のレイアウトはlayout.jsで定義します。
// app/layout.js
export default function RootLayout({ children }) {
return (
<html lang="ja">
<body>
<header>共通ヘッダー</header>
{children}
<footer>共通フッター</footer>
</body>
</html>
)
}
データの取得
サーバーコンポーネントでは、直接データを取得できます。
// app/posts/page.js
async function getPosts() {
const res = await fetch('https://api.example.com/posts')
return res.json()
}
export default async function PostsPage() {
const posts = await getPosts()
return (
<ul>
{posts.map(post => (
<li key={post.id}>{post.title}</li>
))}
</ul>
)
}
useEffectを使わずに、シンプルにデータ取得ができるのがNext.jsの魅力です。
Next.jsを学ぶメリット【未経験者向け】
未経験からエンジニアを目指す方にとって、Next.jsを学ぶメリットをお伝えします。
1. 実務での需要が高い
2025年現在、多くの企業がNext.jsを採用しています。特にスタートアップやWeb系企業では、Next.jsの経験者を優遇するケースが増えています。
2. フルスタックへの第一歩
Next.jsのAPI Routesを使えば、バックエンドの処理も書けます。これにより、フロントエンドだけでなくバックエンドの知識も身につき、フルスタックエンジニアへの道が開けます。
3. デプロイが簡単
Next.jsの開発元であるVercelを使えば、GitHubと連携して自動デプロイが可能です。ポートフォリオサイトの公開も簡単にできます。
4. モダンな開発手法が学べる
サーバーコンポーネント、ストリーミング、キャッシュ戦略など、モダンなWeb開発の概念を実践的に学べます。
Next.jsの学習ステップ
効率よくNext.jsを学ぶためのステップをご紹介します。
ステップ1:Reactの基礎を固める
コンポーネント、Props、State、Hooksなど、Reactの基本概念をしっかり理解しましょう。
ステップ2:Next.jsの公式チュートリアル
Next.jsの公式サイトには、実践的なチュートリアルが用意されています。これをやり込むのがおすすめです。
ステップ3:App Routerを理解する
Next.js 13以降の新しいルーティング方式「App Router」を学びます。サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントの違いを理解することが重要です。
ステップ4:ポートフォリオサイトを作る
実際にNext.jsでポートフォリオサイトを作り、Vercelにデプロイしてみましょう。
ステップ5:より高度な機能を学ぶ
認証、データベース連携、キャッシュ戦略など、実務で必要な知識を深めていきます。
まとめ
この記事では、Next.jsの基本について解説しました。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| Next.jsとは | Reactベースのフルスタックフレームワーク |
| 主な特徴 | SSR/SSG、ファイルベースルーティング、自動最適化 |
| 最新バージョン | Next.js 16.1(2025年12月現在) |
| Reactとの違い | ルーティング、SEO、API機能などが標準搭載 |
| 学習の前提 | Reactの基礎知識が必要 |
Next.jsは、Reactを学んだ後の「次のステップ」として最適なフレームワークです。実務での需要も高く、モダンなWeb開発スキルを身につけることができます。
Reactの基礎を固めたら、ぜひNext.jsにチャレンジしてみてください!