「Node.jsってサーバーサイドでJavaScriptが動くらしいけど、どういうこと?」「フロントエンドとバックエンド、両方JavaScriptでできるって本当?」
Web開発を学んでいると必ず耳にする「Node.js」。JavaScriptをサーバー側で動かせる革新的な技術ですが、初心者には少しわかりにくいかもしれません。
この記事では、プログラミング初心者の方でもわかるように、Node.jsの基本から活用場面、学習方法まで丁寧に解説していきます。
Node.jsとは?JavaScriptをサーバーで動かす実行環境
Node.jsは、JavaScriptをサーバーサイドで実行するための環境(プラットフォーム)です。2009年にRyan Dahl氏によって開発されました。
ここで「実行環境」という言葉が出てきましたが、これは「プログラムを動かすための土台」と考えてください。
なぜNode.jsが革新的だったのか
JavaScriptは元々、Webブラウザの中でしか動かない言語でした。ボタンをクリックした時の動作や、アニメーションなど、Webページ上での処理に使われていたのです。
Node.jsの登場により、JavaScriptがブラウザの外、つまりサーバー側でも動くようになりました。これにより、フロントエンド(画面側)もバックエンド(サーバー側)も、同じJavaScriptで開発できるようになったのです。
フロントエンドとバックエンドの違い
Web開発には、大きく分けて2つの領域があります。
| 領域 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| フロントエンド | ユーザーが直接見る・操作する部分 | ボタン、フォーム、アニメーション |
| バックエンド | サーバー側で行う処理 | データベース操作、認証、API |
例えば、Twitterで「いいね」ボタンを押すと、ハートが赤くなる(フロントエンド)と同時に、サーバーに「いいねした」という情報が送られて保存されます(バックエンド)。
Node.jsを使えば、このバックエンドの処理をJavaScriptで書けるようになります。
Node.jsの3つの特徴
Node.jsが多くの開発者に選ばれる理由を、3つの特徴から解説します。
1. 非同期・ノンブロッキングI/O
Node.jsの大きな特徴は、「非同期処理」が得意なことです。
少し難しい言葉ですが、料理で例えてみましょう。
同期処理(従来の方法):パスタを茹でている間、何もせずに待つ。茹で終わったらソースを作り始める。
非同期処理(Node.js):パスタを茹でながら、同時にソースも作る。茹で上がったら合わせる。
Node.jsは、ファイルの読み込みやデータベースへの問い合わせなど、時間のかかる処理を「待たずに」次の処理に進めます。これにより、多数のリクエストを効率よく処理できるのです。
2. npm(パッケージ管理システム)
Node.jsには、npm(Node Package Manager)という強力なパッケージ管理システムが付属しています。
npmとは、世界中の開発者が作った便利なプログラム(パッケージ)を簡単にインストールして使える仕組みです。2025年現在、200万以上のパッケージが公開されており、世界最大のソフトウェアレジストリとなっています。
# パッケージのインストール例
npm install express # Webサーバー用ライブラリ
npm install axios # HTTP通信用ライブラリ
車輪の再発明(既にあるものを一から作り直すこと)をせず、先人の知恵を活用できるのは大きなメリットです。
3. シングルスレッド・イベントループ
Node.jsは「シングルスレッド」で動作します。これは、一度に一つの処理しかしないという意味です。
「え、それって遅くない?」と思うかもしれませんが、Node.jsには「イベントループ」という仕組みがあり、時間のかかる処理は別の場所に任せて、メインの処理は常に動き続けます。
この仕組みのおかげで、軽量でありながら高いパフォーマンスを発揮できるのです。
Node.jsでできること
Node.jsは様々な場面で活用されています。主な用途をご紹介します。
1. Webサーバー・APIサーバー
最も一般的な使い方は、Webサーバーやアプリを構築することです。Express.jsなどのフレームワークを使えば、効率的にWebサービスを開発できます。
// シンプルなWebサーバーの例
const express = require('express');
const app = express();
app.get('/', (req, res) => {
res.send('Hello, World!');
});
app.listen(3000, () => {
console.log('サーバーが起動しました');
});
2. リアルタイムアプリケーション
チャットアプリやオンラインゲームなど、リアルタイム通信が必要なアプリケーションに最適です。Socket.ioというライブラリを使えば、サーバーとクライアント間の双方向通信を簡単に実装できます。
3. CLIツール(コマンドラインツール)
開発者向けのコマンドラインツールもNode.jsで作成できます。実際、多くの開発ツールがNode.jsで作られています。
4. フロントエンド開発の基盤
React、Vue.js、Next.jsなど、モダンなフロントエンド開発では、ビルドツールやパッケージ管理にNode.jsが使われています。フロントエンドエンジニアでも、Node.jsの基礎知識は必須となっています。
Node.jsのバージョンについて【2025年最新】
Node.jsを使う上で知っておきたいのが、バージョン管理の仕組みです。
LTS(Long Term Support)とは
Node.jsには、LTS(長期サポート)バージョンとCurrentバージョンがあります。
| 種類 | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| LTS | 安定版。30ヶ月のサポート期間 | 本番環境での利用、初心者 |
| Current | 最新機能が使える。サポート期間は短め | 新機能を試したい開発者 |
初心者の方や、実際の開発で使う場合は、LTSバージョンを選ぶことをおすすめします。安定しており、セキュリティアップデートも長期間提供されます。
2025年12月時点の最新バージョン
- Node.js 24(LTS):コードネーム「Krypton」。2028年4月までサポート
- Node.js 22(LTS):コードネーム「Jod」。2027年4月までサポート
- Node.js 25(Current):最新機能が使えるバージョン
2025年10月にNode.js 24がLTSに昇格し、現在は最も推奨されるバージョンとなっています。
Node.js 25の注目機能
Node.js 25では、Type Stripping機能がStable(安定版)になりました。これにより、TypeScriptファイルを直接Node.jsで実行できるようになり、開発体験が向上しています。
Node.jsを使っている企業・サービス
Node.jsは、世界中の大手企業で採用されています。
- Netflix:起動時間を70%短縮
- PayPal:開発スピードが2倍に向上
- LinkedIn:サーバー台数を27台から3台に削減
- Uber:大量のリクエストを効率的に処理
- NASA:宇宙飛行士のデータ管理システム
これらの企業がNode.jsを選んだ理由として、高いパフォーマンス、開発効率の向上、JavaScriptエコシステムの活用などが挙げられています。
Node.jsを学ぶメリット【未経験者向け】
未経験からエンジニアを目指す方にとって、Node.jsを学ぶメリットをお伝えします。
1. JavaScriptだけで完結できる
フロントエンドもバックエンドもJavaScriptで書けるため、新しい言語を覚える負担が減ります。フロントエンドエンジニアからフルスタックエンジニアへのステップアップもスムーズです。
2. 学習コストが比較的低い
JavaScriptの知識があれば、Node.jsへの移行は比較的簡単です。PHPやRuby、Javaなど他のバックエンド言語を一から学ぶよりも、ハードルは低いでしょう。
3. スタートアップでの需要が高い
少人数で素早く開発したいスタートアップ企業では、フロントエンドとバックエンドを同じ言語で書けるNode.jsが好まれる傾向にあります。
4. モダンな開発環境に必須
先述の通り、ReactやVue.jsなどのフロントエンド開発でもNode.jsは必須です。フロントエンドを学ぶなら、Node.jsの基礎知識は避けて通れません。
Node.jsの基本的な使い方
Node.jsの基本的な使い方を見てみましょう。
インストール方法
Node.jsは公式サイト(nodejs.org)からダウンロードしてインストールできます。LTSバージョンを選びましょう。
バージョン管理ツール(nvm、Voltaなど)を使うと、複数のバージョンを切り替えられるので便利です。
Hello Worldを実行してみる
// hello.js
console.log('Hello, Node.js!');
このファイルを作成し、ターミナルで以下のコマンドを実行します。
node hello.js
「Hello, Node.js!」と表示されれば成功です。
簡単なHTTPサーバー
// server.js
const http = require('http');
const server = http.createServer((req, res) => {
res.writeHead(200, { 'Content-Type': 'text/plain; charset=utf-8' });
res.end('こんにちは!Node.jsサーバーです');
});
server.listen(3000, () => {
console.log('サーバーが http://localhost:3000 で起動しました');
});
このコードを実行して、ブラウザで http://localhost:3000 にアクセスすると、メッセージが表示されます。わずか数行でWebサーバーが作れるのがNode.jsの魅力です。
Node.jsの学習ステップ
効率よくNode.jsを学ぶためのステップをご紹介します。
ステップ1:JavaScriptの基礎を固める
変数、関数、配列、オブジェクト、非同期処理(Promise、async/await)など、JavaScriptの基礎をしっかり学びましょう。
ステップ2:Node.jsの基本を学ぶ
モジュールシステム、ファイル操作、HTTPサーバーの作成など、Node.js特有の概念を学びます。
ステップ3:Express.jsでWebアプリを作る
Express.jsというフレームワークを使って、簡単なWebアプリやAPIを作成します。
ステップ4:データベースと連携する
MongoDBやMySQLなど、データベースとの連携方法を学び、より実践的なアプリを作れるようになります。
ステップ5:認証・セキュリティを学ぶ
ログイン機能やセキュリティ対策など、実務で必要な知識を身につけます。
まとめ
この記事では、Node.jsの基本について解説しました。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| Node.jsとは | JavaScriptをサーバーサイドで実行する環境 |
| 主な特徴 | 非同期処理、npm、シングルスレッド・イベントループ |
| できること | Webサーバー、API、リアルタイムアプリ、CLIツール |
| 最新LTS | Node.js 24(Krypton)- 2028年4月までサポート |
| 学ぶメリット | JS一つで完結、学習コスト低め、需要が高い |
Node.jsは、モダンなWeb開発において欠かせない存在です。JavaScriptの知識があれば始めやすく、フロントエンドからバックエンドへの領域拡大もスムーズです。
未経験からエンジニアを目指す方にとって、Node.jsは強力な武器になります。まずは簡単なサーバーを作るところから始めて、少しずつスキルを積み上げていきましょう!