「SREって何?」「インフラエンジニアと何が違うの?」
IT業界で注目を集めるSRE(サイトリライアビリティエンジニアリング)という職種。
GoogleやNetflixなど、大規模サービスを運営する企業から広まり、今では日本でも求人が増えている注目の職種です。
この記事では、SREとは何か、インフラエンジニアとの違いは何かを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
SREとは?
SRE(Site Reliability Engineering)は、サービスの信頼性を維持・向上させることに特化したエンジニアリングの手法であり、それを行う職種のことです。
日本語では「サイト信頼性エンジニアリング」と訳されます。
Googleが生み出した概念
SREは、2003年頃にGoogleで生まれた概念です。
当時のGoogleは、サービスが急拡大する中で「どうすればシステムを安定して運用できるか」という課題に直面していました。
その答えとして生まれたのが、「ソフトウェアエンジニアリングでインフラの問題を解決する」というSREの考え方です。
SREの基本的な考え方
運用を「自動化」する
従来の運用は、人間が手作業で行うことが多くありました。
SREは、繰り返し発生する作業を自動化し、エンジニアがより価値の高い仕事に集中できるようにします。
「100%」を目指さない
SREの特徴的な考え方が「100%の可用性を目指さない」ということ。
100%を目指すと、コストが膨大になり、開発のスピードも落ちます。代わりに「許容できる範囲のダウンタイム」を設定し、その範囲内でバランスを取ります。
これをSLO(Service Level Objective:サービスレベル目標)とエラーバジェットという概念で管理します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| SLI(Service Level Indicator) | サービスの品質を測る指標(例:稼働率、レスポンス時間) |
| SLO(Service Level Objective) | 達成すべき目標値(例:稼働率99.9%) |
| エラーバジェット | 許容されるエラーの量(100% – SLO) |
SREとインフラエンジニアの違い
SREとインフラエンジニア、どう違うのでしょうか?
| 項目 | インフラエンジニア | SRE |
|---|---|---|
| 主な目的 | インフラの構築・運用 | サービスの信頼性確保 |
| スキルの重心 | インフラ技術 | インフラ + プログラミング |
| アプローチ | 安定稼働を重視 | 自動化と改善を重視 |
| コードを書く割合 | 少なめ | 50%程度が目標(Googleの場合) |
| 障害対応 | 復旧が中心 | 復旧 + 再発防止の仕組み化 |
| 指標 | 稼働率、障害件数 | SLI/SLO、エラーバジェット |
重なる部分も多い
SREとインフラエンジニアは完全に別物ではありません。
SREは「インフラエンジニアの進化形」とも言え、インフラの知識をベースにしつつ、ソフトウェアエンジニアリングの手法を取り入れた職種です。
SREの主な仕事内容
1. 自動化ツールの開発
手作業で行っていた運用を自動化するツールを開発します。
- デプロイの自動化
- 障害復旧の自動化
- 監視・アラートの自動化
2. 監視・アラートの設計
適切な監視システムを設計・運用します。
- SLI/SLOに基づいた監視設計
- 意味のあるアラート設定(オオカミ少年にならないように)
- ダッシュボードの整備
3. インシデント対応
障害が発生した時の対応・分析を行います。
- オンコール対応(緊急対応)
- 障害の根本原因分析(RCA)
- ポストモーテム(振り返り)の実施
4. キャパシティプランニング
将来の負荷を予測し、適切なリソースを計画します。
5. 開発チームとの協業
開発チームと連携し、信頼性を考慮したシステム設計を推進します。
SREに必要なスキル
| スキル | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| プログラミング | Python、Go、シェルスクリプト | ★★★ |
| Linux | サーバーOSの深い知識 | ★★★ |
| クラウド | AWS、GCP、Azure | ★★★ |
| コンテナ/K8s | Docker、Kubernetes | ★★★ |
| IaC | Terraform、Ansible | ★★☆ |
| CI/CD | Jenkins、GitHub Actions等 | ★★☆ |
| 監視 | Prometheus、Datadog、Grafana | ★★☆ |
SREは、インフラエンジニアよりプログラミングスキルが重視されます。
SREの年収
| 経験年数 | 年収目安 |
|---|---|
| ジュニア(1〜3年) | 500万〜700万円 |
| ミドル(3〜5年) | 700万〜900万円 |
| シニア(5年以上) | 900万〜1500万円 |
SREは高度なスキルが求められる分、年収も高い傾向にあります。
特に、メガベンチャーや外資系IT企業では、1000万円を超えることも珍しくありません。
SREを目指すには?
インフラエンジニアからのキャリアパス
最も一般的なのは、インフラエンジニアからSREへのキャリアチェンジです。
- インフラエンジニアとして経験を積む
- プログラミングスキルを習得(Python、Go等)
- 自動化、IaC、CI/CDを学ぶ
- Kubernetes、監視ツールを習得
- SREポジションに挑戦
開発エンジニアからのキャリアパス
プログラマーやバックエンドエンジニアからSREになるルートもあります。
この場合は、インフラ・運用の知識を追加で学ぶ必要があります。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SREとは | サービスの信頼性を確保するエンジニアリング手法・職種 |
| 特徴 | 自動化重視、SLI/SLO/エラーバジェットの概念 |
| インフラエンジニアとの違い | プログラミング重視、自動化・改善のアプローチ |
| 必要スキル | インフラ + プログラミング + 自動化 |
| 年収 | 500万〜1500万円(高い傾向) |
SREは、インフラとソフトウェア開発の両方のスキルを持つ、高度な専門職です。
需要が高く、年収も高い職種ですが、その分求められるスキルレベルも高いです。まずはインフラエンジニアとして基礎を固め、段階的にSREを目指していくのが現実的なキャリアパスです!
SKサービスでは、インフラエンジニアとしての経験を積みながら、将来的にSREを目指せる環境があります。「インフラから始めてキャリアアップしたい」「自動化に興味がある」という方、まずはお気軽にご相談ください!