「Vue.jsってReactと何が違うの？」「初心者に優しいって聞くけど本当？」

フロントエンド開発を学び始めると、必ず選択を迫られるのが「React」と「Vue.js」。どちらも人気のフレームワークですが、Vue.jsは特に「初心者に優しい」と言われています。

この記事では、プログラミング初心者の方でもわかるように、Vue.jsの特徴から始め方まで丁寧に解説していきます。

Vue.jsとは？シンプルで学びやすいJavaScriptフレームワーク

Vue.js（ビュージェイエス）は、ユーザーインターフェース（UI）を構築するためのJavaScriptフレームワークです。Googleで働いていたEvan You（エヴァン・ヨー）氏が2014年に開発しました。

Vue.jsのコンセプトは「プログレッシブフレームワーク」。これは、必要に応じて段階的に機能を追加できるという意味です。シンプルな使い方から始めて、慣れてきたら高度な機能を取り入れていけるのが特徴です。

Vue.jsが生まれた背景

Vue.jsの開発者であるEvan You氏は、以前GoogleでAngularJS（Angularの前身）を使った開発に携わっていました。その経験から「Angularの良い部分を抽出して、もっと軽量でシンプルなフレームワークを作れないか」と考えたのがVue.js誕生のきっかけです。

結果として、Vue.jsはシンプルさと機能性のバランスが取れたフレームワークとして、世界中の開発者に支持されるようになりました。

Vue.jsを使っている企業・サービス

Vue.jsは、世界中の有名企業で採用されています。

• NASA（アメリカ航空宇宙局）
• Apple
• Google
• Microsoft
• GitLab
• Zoom
• 任天堂（Nintendo）
• LINE

npmでは毎月約1,000万回ダウンロードされており、世界中で150万人以上の開発者が利用しています。

Vue.jsの3つの特徴

Vue.jsが多くの開発者、特に初心者に選ばれる理由を3つの特徴から解説します。

1. 学習コストが低い

Vue.jsは、HTML、CSS、JavaScriptの基礎知識があれば始められる設計になっています。

Reactのように特殊な記法（JSX）を覚える必要がなく、馴染みのあるHTMLベースのテンプレート構文を使います。そのため、Web制作の経験がある方なら、比較的スムーズに学習を進められます。

<!-- Vue.jsのシンプルな例 -->
<template>
  <div>
    <h1>{{ message }}</h1>
    <button @click="changeMessage">メッセージを変更</button>
  </div>
</template>

<script>
export default {
  data() {
    return {
      message: 'こんにちは、Vue.js！'
    }
  },
  methods: {
    changeMessage() {
      this.message = 'ボタンがクリックされました！'
    }
  }
}
</script>

見ての通り、HTMLの中にJavaScriptの変数を埋め込む形で書けるので、直感的に理解しやすいですよね。

2. 公式ドキュメントが充実

Vue.jsの公式ドキュメントは、日本語に完全対応しています。しかも、初心者向けのチュートリアルから応用的な内容まで、段階的に学べる構成になっています。

公式サイト（ja.vuejs.org）を見れば、概要から詳細まで理解できる丁寧な解説が用意されています。英語が苦手な方でも安心して学習を進められるのは大きなメリットです。

3. 柔軟性が高い

Vue.jsは、小さなプロジェクトから大規模アプリケーションまで対応できる柔軟性を持っています。

• 既存のHTMLページに部分的に導入する
• シングルページアプリケーション（SPA）を構築する
• Nuxt.jsと組み合わせてサーバーサイドレンダリング（SSR）を実現する

必要に応じて機能を追加できるので、最初はシンプルに始めて、プロジェクトの成長に合わせて拡張していけます。

ReactとVue.jsの違い

フロントエンド開発を始めるとき、多くの人が「ReactとVue.js、どちらを学ぶべき？」と悩みます。両者の違いを比較してみましょう。

初心者にはVue.jsがおすすめの理由

どちらも優れたフレームワークですが、初心者には以下の理由でVue.jsをおすすめします。

• HTMLに近い書き方で、Web制作経験者なら馴染みやすい
• 公式ドキュメントが日本語で充実している
• 公式ツール（Vue Router、Pinia等）が整理されていて選びやすい
• 小さく始めて段階的に学べる

ただし、転職市場ではReactの求人数のほうが多い傾向にあります。最終的なキャリア目標を考えて選ぶのも一つの方法です。Vue.jsで基礎を固めてからReactを学ぶという選択肢もあります。

Vue.jsの最新動向【2025年版】

2025年12月現在、Vue.jsの最新バージョンはVue 3.5系です。Vue 3は2020年にリリースされ、パフォーマンスの向上や新機能の追加が継続的に行われています。

Vue 3の主な特徴

• Composition API：より柔軟なコード構成が可能に
• パフォーマンス向上：Vue 2と比べて高速化
• TypeScriptサポート強化：型安全な開発がしやすく
• Teleport：モーダルやツールチップの実装が簡単に
• <script setup>：より簡潔な記述が可能に

Vue Vapor Mode（開発中）

2025年には、Vue Vapor Modeを搭載したVue 3.6の開発が進んでいます。Vapor Modeは「脱仮想DOM」を目指す新しいレンダリングモードで、さらなるパフォーマンス向上が期待されています。

Vue 2のサポート終了

注意点として、Vue 2は2023年12月31日にサポートが終了しています。これから学習を始める方は、必ずVue 3を選びましょう。

Vue.jsの基本的な書き方

Vue.jsの基本的なコードを見てみましょう。完全に理解する必要はありませんので、雰囲気をつかんでください。

単一ファイルコンポーネント（SFC）

Vue.jsでは、HTML・JavaScript・CSSを1つのファイルにまとめて書く単一ファイルコンポーネント（.vueファイル）という形式が推奨されています。

<template>
  <div class="counter">
    <p>カウント: {{ count }}</p>
    <button @click="increment">+1</button>
    <button @click="decrement">-1</button>
  </div>
</template>

<script setup>
import { ref } from 'vue'

const count = ref(0)

const increment = () => {
  count.value++
}

const decrement = () => {
  count.value--
}
</script>

<style scoped>
.counter {
  text-align: center;
  padding: 20px;
}
button {
  margin: 0 5px;
  padding: 10px 20px;
}
</style>

このように、テンプレート（HTML）、スクリプト（JavaScript）、スタイル（CSS）が1つのファイルにまとまっているので、コンポーネントの管理がしやすくなっています。

リアクティブシステム

Vue.jsの大きな特徴は「リアクティブシステム」です。データが変更されると、自動的に画面が更新されます。

<script setup>
import { ref, computed } from 'vue'

// リアクティブな変数
const firstName = ref('太郎')
const lastName = ref('山田')

// 算出プロパティ（自動で再計算される）
const fullName = computed(() => {
  return lastName.value + ' ' + firstName.value
})
</script>

<template>
  <p>フルネーム: {{ fullName }}</p>
</template>

firstNameやlastNameが変更されると、fullNameも自動的に再計算されます。開発者は「データの更新」だけに集中すればよく、画面の更新処理を書く必要がありません。

Vue.jsを学ぶメリット【未経験者向け】

未経験からエンジニアを目指す方にとって、Vue.jsを学ぶメリットをお伝えします。

1. 挫折しにくい

学習曲線が緩やかなため、プログラミング初心者でも比較的挫折しにくいのがVue.jsの魅力です。成功体験を積みながらステップアップできます。

2. 日本企業での採用実績

日本国内でもVue.jsを採用している企業は多く、特にスタートアップやWeb制作会社での需要があります。LINEや任天堂など、大手企業での採用実績もあります。

3. Nuxt.jsへのステップアップ

Vue.jsを習得すれば、Nuxt.jsという上位フレームワークへのステップアップもスムーズです。Nuxt.jsを使えば、SEOに強いWebアプリケーションを効率的に開発できます。

4. 他のフレームワークへの応用

Vue.jsで学んだコンポーネント思考やリアクティブプログラミングの考え方は、ReactやAngularを学ぶ際にも役立ちます。

Vue.jsの学習ステップ

効率よくVue.jsを学ぶためのステップをご紹介します。

ステップ1：HTML/CSS/JavaScriptの基礎

Vue.jsはJavaScriptのフレームワークなので、まずはHTML、CSS、JavaScriptの基礎をしっかり固めましょう。

ステップ2：Vue.jsの公式チュートリアル

公式サイト（ja.vuejs.org）のチュートリアルに取り組みます。インタラクティブに学べるので、手を動かしながら理解を深められます。

ステップ3：簡単なアプリを作る

ToDoアプリ、メモアプリ、天気アプリなど、シンプルなアプリを作りながら実践力を身につけます。

ステップ4：Vue RouterとPiniaを学ぶ

ページ遷移（Vue Router）や状態管理（Pinia）など、実務で必要な周辺ツールを学習します。

ステップ5：Nuxt.jsへステップアップ

Vue.jsの基礎が身についたら、Nuxt.jsを学んでより実践的な開発スキルを習得しましょう。

まとめ

この記事では、Vue.jsの基本について解説しました。

Vue.jsは「初心者に優しいフレームワーク」として、多くの開発者に選ばれています。日本語ドキュメントも充実しているので、英語が苦手な方でも安心して学習を始められます。

フロントエンド開発の第一歩として、Vue.jsはとてもおすすめの選択肢です。ぜひ公式チュートリアルから始めてみてください！